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最新技術と罰せられる理由

by 唐草 [2018/11/30]



 先日、中国から驚くべき情報が発信された。中国から発せられる情報は、いつでもぼくたちをその驚かせてくれる。ただ厄介なことに手放しで喜べないタイプの驚きが少なくない。特に今回の驚きは、喜びよりも恐怖を刺激するタイプの驚きだと言える。
 ぼくが驚いているのは、世間のニュースも騒がしている「ヒトゲノム編集を行った赤ちゃんを生み出した」という知らせである。
 遺伝子工学の進歩は目覚ましい。ぼくがニュースを理解しようと勉強を始めたって追いつけないぐらいの速度で進歩している。数年前に「遺伝子組換え野菜が怖い」とか言っていたのは、今の感覚からすれば中世の錬金術レベルで化学を語っているようなものだろう。
 去年読んだ本によると数年前にCPISPR-Cas9と呼ばれる技術が開発されて以来、遺伝子を自由に編集することができるようになったそうだ。初期の遺伝子組み換え野菜で行っていたような他生物の遺伝子を埋め込むのとは訳が違うそうだ。
 多くの動物での実験が成功していて、人間でも実験が始まっているという話だった。ここで言う人間は新生児ではなく、生まれたあとの話。遺伝子由来の疾患をもって生まれた場合、疾患のある部位を編集した本人由来の遺伝子で作った細胞に置き換えるというような話だった。コンピューターで例えると、自分の細胞を使って修正パッチファイルを作るようなものだとぼくは理解した。
 今回の中国の話は全く違う。完全に編集した遺伝子しか持たない赤ちゃんを作り出したという話だ。ちょっと前まではSFの中でしか起こり得なかったようなことが現実に起きたのである。
 技術的には確立されていたが、倫理面や法律など社会的側面から実施されていなかった遺伝子編集ベイビーの作成。0から遺伝子を組んだわけではないので親の遺伝子を多く持っているはず。それでも自然では生まれない遺伝子を持った赤ちゃんである可能性は十分にある。この技術が進めば遺伝子由来の病気を持つ人は激減するだろう。その一方で、頭が良い遺伝子を埋め込みたいとか、イケメンの遺伝子を埋め込みたいとかいう方向にも進むだろう。何億年と続いてきた人間のライフサイクルが根底から変わる瞬間がやってきたとも言える。
 この知らせが発せられるのは価値観と倫理観の関係から中国からになるのではないだろうかと思っていた。事実かどうかは確認できていないけれど第一報は予想通り中国から発せられた。発表した研究者を罰すると中国政府が言っているが、これは機密を国外に漏らした罰だったりはしないだろうか。どうしても陰謀説大好きなぼくは、こういう穿った見方をしてしまう。