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全裸待機76

by 唐草 [2018/12/08]



 ネットスラングに「全裸待機」という言葉がある。元来の意味は「エロネタの投下を期待して待っている」というような感じだった。それが転じて、ネタの投下を要求するときにも使われるようになったと記憶している。これに対して言われた側は「パンツ履いて待ってろ」といった感じで答えるのがある意味お約束になっている。
 実際にネットを隔てた向こうの相手が本当に脱いでいたら気持ち悪い。でも、言っている方だって(多くの場合)脱ぐ気はないし、言われた方だって真に受けて一糸まとわぬオッサンの裸体を想像したりはしないだろう。
 ところが、先日ぼくは「全裸待機」という言葉がもっともふさわしい状況に巻き込まれてしまった。それどころか、脱ぐことが公式に推奨される場面に出くわしたのである。
 すでに何らかの期待を胸にいだいてパンツを下ろした方もいるかもしれないが、リアルでの話ではない。ゲームの世界での話である。
 バグまみれの『Fallout 76』で事件は起こった。安定性向上のパッチを当てたら、新たに厄介なバグが発生してしまった。ログインすると装備品によるステータスアップがすべて無効になってしまうというバグである。再装備しても効果は復活せず、何の効果も得られない状況となってしまう。
 このバグを聞いて、どう思っただろうか?深刻なバグだと思うのが正常な判断だ。他のゲームでこんなバグが起きたら大炎上に違いない。だが、深刻な放射能汚染を自称するFalloutファンの頭はすでに腐っている。彼ら(ぼくら?)からすればゲーム進行に異常はないし、クラッシュするわけでもないので軽微なバグである。文句こそ言うものの自分たちで解決策を見つけてしまった。
 それが全裸待機である。
 ログイン時に装備品のボーナスが無効になるなら、ログアウト時に裸になっておけばいいじゃないか。まさに逆転の発想である。この試みはうまくいき、今では公式が推奨するバグ回避方法となっている。
 全裸待機が推奨されてから初めてのメンテが行われた。きっと何万人ものプレーヤーがいそいそと服や鎧を脱いでログアウトしたのだろう。そして、生まれたままの姿でいつ終わるともしれないサービス再開を待っていたはずだ。誰も見ることは出来ないけれどデータの中で全裸待機の集団がいたと思うとなんだか笑えてくる。