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極寒の仕事始め

by 唐草 [2019/01/07]



 今日が仕事始めだ。とは言うもののいわゆる裁量労働制なので、別に仕事がなければ出勤する必要はない。だから今日まで正月休みにしようと考えていた。でも、余裕があるうちに片付けておいた方が良さそうな案件がちらほらあったので重い腰を上げた。
 お正月気分でダラダラと準備をして、余裕たっぷりに食事をしていたら時間はあっという間に流れていった。職場についたのは14時近くなっていた。うーん、おかしい。こんなはずではなかったのだが。どうもぼくの体内時計は、まだ寝正月モードのようである。
 昨年の12/28から休みだったので久々の出勤である。休みの間は職場が閉鎖されてしまうので、特別な事情がない限り入構すらできなかった。だから10日に渡って人気のない状態が続いていた。ぼくはこの事実に気がついていなかった。それが今年最初の失敗となるとは思いもよらなかった。
 特に新年という感じもなく普段どおりに職場の自室で作業を開始した。構内は自主的にお正月休みを延長している人が多いせいか閑散としていた。人気のいないフロアは寒く感じられる。
 だが、その寒さは錯覚ではなかった。
 いつものようにコートを脱いで、暖房をつけて仕事をしていたら指先の感覚がおかしくなってきた。この感覚は、寒い深夜に自室でゲームをやっているときと同じだ。ぼくの白く細い指が、氷のようにキンキンに冷え切ってしまっていたのである。暖房をつけているのにこの部屋は、断熱材のないぼくの部屋と同じように寒いのだ。鉄筋コンクリート製の気密の良い建物と築40年の木造住宅が同じように寒いって一体何が起きているんだ?窓でも開けっ放しになっているのか?
 窓はきっちり閉まっているし、エアコンはしっかりと温い風を吹き出している。昨年末と同じようにすべて正常に動いている。
 それなのになぜ寒いのか?その答が無人の10日間にあった。
 ぼくのいる棟は、多摩の山の山頂付近に建っている。ここ数日は、每日氷点下の冷え込みを記録している。現にぼくのフロアから見える近隣の学校のプールはスケートリンクのように表面が凍結したままである。そんな冷凍庫並みの気温にさらされていたので、建物自体が完全に冷え切ってしまっているのである。普段は暖房が稼働して内側から暖められているので外の寒さを寄せ付けていなかった。でも、10日間の無人期間に寒さは建物内部まで侵入してきたようだ。
 窓も壁も床も、さわれないけど多分天井も氷のように冷え切っている。今のぼくは冷蔵庫の中に入れられているようなものなのだ。天井から吹き出すエアコンの温い風は床に届く前に寒風に変わっている。温めたお茶も口に運ぶ頃にはアイスティーになっている。そんな部屋でコートを脱いだのは自殺行為だった。人間の活動がもたらす熱量を改めて理解することとなった。