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洗練されるクソ技術

by 唐草 [2019/02/05]



 ぼくのMac pro(Early 2009)は、メモリ増設、グラボ交換、M.2 SSD追加で2019年でも使用に耐えうるスペックに生まれ変わった。CPUの交換はしていないので頭脳の中心だけは10年前のままだが、ぼくの仕事や遊びを支えてくれるには十分な性能がある。あと何年持つかは分からないけれど、もうしばらくぼくの相棒として活躍してくれそうだ。
 スペック的には必要最低限を満たしてくれているが、相変わらず電源の不調だけは直っていない。電源ボタンを押しても簡単には起動してくれないし、スリープに入ってしまうと目覚めなくなってしまう。この状態から抜け出せないので、相変わらず電源スイッチ付きの節電タップが欠かせない。
 この節電タップは、暴走して止まらなくなるウォシュレットのキルスイッチとして使用していたことはここに書いた。そのため、トイレで使用しなくなった今でもぼくは親しみを込めて「便所スイッチ」と呼んでいる。
 「改造Mac pro with 便所スイッチ」これが2019年のぼくの片腕なのである。
 便所スイッチがあれば、誰でもぼくのMac proを起動できる訳ではない。RPGの終盤ダンジョンに出てきそうな複雑な手順が必要なのである。以下に現在ベストだと思われる手順を記しておこう。

1.Macの電源ボタンを押す
2.カチッと通電したような音がするが、うんともすんとも言わないのを確認する
3.便所スイッチを切ってMacを強制終了する
4.5秒数えて便所スイッチを入れる
6.Macの電源ボタンを1秒間に2回ぐらいのリズムで通電するまで連打する

 とても面倒そうな手順に見えることだろう。やっているぼくもちょっとだけ面倒くさいと感じているのは事実だ。でも、この6ステップの操作は初期の頃に比べればだいぶ洗練されてきたし、かかる時間も10秒程度まで短縮されている。便所スイッチ導入前は本体を開けたり、電源ケーブルの抜き差しまでしていた。便所スイッチ導入直後だってAppleのマニュアルに従って15秒待ったり、キーボード経由でリセットコマンドを送ったりしていた。もっと面倒だった。
 何度も試すうちに必要な行程とそうでない行程の選別を行っていった。そしてたどり着いた方法が上記の手順なのである。問題の本質から目を背け、すべてを運用でカバーしている状況だ。他のどこでも絶対に役立たない技術と経験がどんどん洗練されている。
 でも、他の誰にもできないだろう手順で起動させているので愛着もひとしおである。もしかしたら巧みなチョーク操作とアクセルワークがないとエンジンがかからないクラッシクカーを愛でているのに似た感覚なのかもしれない。今なら映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で愛車のエンジンをかけてドヤ顔しているビフの気持ちがよく分かる。