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VR week

by 唐草 [2019/02/06]



 先週から職場にVR機器一式が導入された。なんに使うのかはいまいちよく分かっていないのだが、ぼくたちのおもちゃとして十二分に活躍している。多くの業務が滞ってしまうのどの活躍ぶりである。
 実際に使ってみて感じたことや理解できたことがいろいろある。やはり頭で考えているだけでは分からないこともたくさんあった。ぼくのサボりの成果をここに記しておこう。
 導入されたは現行で最高性能との呼び声高いHTC VIVE PROである。VRゴーグルのセンサーだけではなく、部屋に設置する2台のセンサーを併用しているのでトラッキング性能はとても高い。自分の頭の動きに遅れることなく追随してくれるのでなんの違和感もない。VRは酔いやすいと言われているが、ありとあらゆる乗り物で酔ってゲロを吐いた経験のあるぼくがそれなりに利用できているのは高性能なトラッキング性能のおかげだろう。ただ、注意が必要なのは酔わないと言っているのではないこと。あくまで酔いにくいだけだ。
 頭の動きを正確に追ってくれるのでバーチャル世界にいるという没入感はとても高い。立体視をしていることもありCGのクオリティーが十分でなくてもその世界にいる感じがする。その証拠として映像の中のハンドルなんかをつかもうとして自然に手が動いてしまう。
 特に驚いたのが、VRゴーグルを装着してリアルな世界の視覚は完全に絶たれているのにコントローラーを手に取れたこと。コントローラーの位置もトラッキングされているのでバーチャル世界に投影されている。投影された映像の位置とリアルの位置関係が完全にマッチしているのでVRゴーグル越しでも自然と手に取れるのである。
 ここまではポジティブな驚きを書いてきたが、残念だった面もいくつかある。
 まずは機器の値段が高すぎること。最上位機種なのでVRゴーグルだけで20万円近くする。また映像を出力するPCも3D能力に特化したいわゆるゲーミングPCが必要になる。こちらも20万円ぐらい。あわせて40万円である。個人ではとても買える代物ではない。庶民はPSVRなどの低スペックVR環境ですら高く感じているというのに…。
 より快適に遊ぶには広い部屋が必要だということを忘れてはいけない。おもちゃに躊躇うことなく40万円を出せるようなセレブなら部屋の心配はいらないだろう。でも、小市民であるぼくの自宅の自室では絶対に遊べない。
 あとVRゴーグルが重いこともネックである。恐ろしいほど肩がこる。また、顔に密着するので暑いのも気になる。長時間身につけていたら首はガチガチになるだろうし、目元は汗でふやけてしまうかもしれない。
 最後にもっとも驚いたことを書いておこう。
 ぼくが遊んでいる環境では、体験を共有するためにVRゴーグルを装着した人が見ている映像をテレビに出している。その映像を見ているとビックリするぐらいの速さで酔うのだ。下手なホームビデオを見ているのと同じで映像の視点がブレまくりなのである。普段、人間の頭がいかに細かく動いているかを理解することができた。
 良い点もあるし、悪い点もある。普及への障壁は、トランプ大統領が思い描く国境の壁のように厚く長くそびえ立っている。それでも普及する未来を夢見たくなるほどの体験が確かにあった。未来の技術を体験しているという満足感だけでも得難い経験であった。