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食パンに飽きる

by 唐草 [2019/05/11]



 長い長い今年のゴールデンウィークは、腰を痛めていたぼくにとってちょうどよい療養期間となった。起きて、食べて、ゲームして、寝るという夢のような毎日なのだが、「何かができない」と感じていると夢の生活も窮屈に思えてしまうようだ。結果としては腰も良くなりプラスだったとは言え、9日間同じことを繰り返しているという印象が拭えなかった。
 繰り返しを感じた最たるものが、朝食である。
 仕事をしている週のぼくの朝食は、月曜から順にトースト、トースト、コンビニおにぎり、コンビニおにぎり、トーストのリズムで平日を乗り切り、土日はトーストに1品加えたりホットケーキを焼いたりしている。でも、ろくに動けなかったゴールデンウィーク期間は、ずっとトーストが続いていた。
 そして、7日目ぐらいに何の予兆もなくトーストに関わるすべてが面倒に感じられた。袋からパンを1枚取り出すのも面倒だし、トースターにセットして3分のところまでダイヤルを回すかと思ったら気が滅入ったし、バターを塗っている自分を想像したら二枚の鏡に映った自分を見つめているような不愉快な気分になった。結局、その日はトーストを食べなかった。
 これは、トーストを食べるという行為自体に飽きてしまった結果である。連日の繰り返しが、ぼくを辟易とさせてしまったようだ。
 ここまで強く食べることに飽きたのは、かなり昔にカレーが三日三晩続いたとき以来である。あの時は、スプーンでカレーの中からニンジンをすくっている自分を考えるのがイヤになったことをよく覚えている。食材こそ違えど、あの時とまったく同じ気分である。
 飽きた日からしばらくパンを食べない生活を続けてきた。スープだけにしてみたり、レトルトのお赤飯を食べてみたり、朝からドーナッツを食べたりと工夫を凝らして様々なものを食べてみた。1週間ぶりに食べたコンビニのおにぎりがいつも以上においしく感じられすらした。
 そして今日、約1週間ぶりにトーストを食べようという気分になった。久しぶりにいちごジャムを用意したのが功を奏したのかもしれない。食パンの袋を見ても何も思わないし、トースターをセットするのも億劫に感じたりしない。唐突に発生したトーストへの飽きは、跡形もなく消え去っていた。
 毎日繰り返していることなんてゲームを筆頭にたくさんあるんだけれども、なぜかぼくの食への飽きは群を抜いて強力である。飽食の現代だからこそ言えるわがままなのは分かっているけれど、食パンを視界に入れたくない日があってもいいじゃないか。