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本を捨てる

by 唐草 [2019/05/20]



 「本を捨てる」と言うと、まるで飼うのに飽きたからと猫を生ゴミに出すかのごとく怒り出す人々が少なからずいるような気がする。確かに本はただの紙束ではない。さまざまな情報や思想なんかが記されたもの、言うなれば誰かの頭の中身をアウトプットしたものだ。それに感銘を受ける人も多くいるだろう。また、時代を超える価値観を作り出すものさえもある。残すべき価値あるものと考えるのにも頷ける。
 だからこそ逆説的に捨てられる本もあって然りなのだとぼくは考えている。次世代に残すべきでない情報もあるだろうし、時代についていくなくなった情報もあるということだ。
 昨日、部屋の整理をしていて3冊の本を捨てることにした。
 Perlの本、PHPの本、ActionScriptの本である。どれもプログラム言語の本だ。
 Perlの本は、関数リファレンスとCGIの作例が1冊にまとまった実践的な本だった。学生時代にとてもお世話になった本である。この本を片手に掲示板とかを作ったのはいい思い出だ。でも、それも過去の話。今どき動的なWebを作る際にPerl CGIなんて使わない。組み込みがより簡単なPHPにその座を奪われてしまった。また、PCの操作を自動化する役目もPythonに取って代わってしまった。Perlという言語は完全に時代遅れ。ぼくが初めに書けるようになった思い入れのある言語だが、ぼく自身構文を忘れるほど使っていない。また、この本を買った時に同じシリーズのHTML/CSSの本とJavaScriptの本も買っていた。そのどちらも時代遅れになり既に処分済み。最後の砦だったPerlもついに陥落したのである。
 PHPは、今のぼくの収入を支える大事な言語である。それなのに関数リファレンスの本を捨てること決意をしたのには訳がある。この本も学生時代に購入した古い本。卒業後、仕事を請け負うようになってからもよく使っていたので様々なページに付箋が貼られたままになっていた。とは言え、この本も久しく開いていない。なにせPHP4が出たときに出版された古いものだからだ。今はPHP7の時代である。長らく天下を取っていたPHP4系統も既に古典の域である。今でも使える部分も残っているかもしれないが、そんな基礎部分はすべてぼくの頭の中にある。この本からは完全に卒業できている。
 ActionScriptは、Flashの終焉とともに消えるのが約束された言語である。ぼくがもっとも自由自在に操れた言語のひとつであるが、スマホ時代には生き残れなかった。しかも今回手放す本は、「ActionScriptで音を操る」と言っておきながら外部ツールを使いまくるサギみたいな本だった。今まで数多くのPC関連書籍を購入してきたが、もっとも役に立たなかった1冊である。先の2冊は表紙の角が曲がるぐらいに使い込んだが、このオレンジ色の本は買ってきたばかりのよう。むしろ、今まで捨てなかったのが不思議なほどである。
 コンピュータの世界は日進月歩で変化していく。本に書かれた内容の多くは数年で陳腐化してしまう。手放す本から時代の変化を感じずにはいられない。
 
追伸
 6年前にもほぼ同じ記事を書いている。時代は繰り返されるのだというのがよく分かる。