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2週間前の勘

by 唐草 [2019/05/21]



 2週間ほど前に歯が痛くなったことを書いた。痛みは大したことはなかった。痛みというより違和感と言った方が適切な程度の小さなものだ。それでも頬骨あたりまでの神経が異常を訴えていた。
 過去の経験から推測すると、この違和感の正体は虫歯の予兆である可能性が高い。ぼく自身が虫歯だと確信できるようになってからでは何もかもが手遅れだ。歯医者の予約は早くて2週間後になるのを分かっていたので、ぼくは近日中に歯の状況が悪化するだろうと読んで早々に診察の予約を入れていた。
 そして、今日がその診察日だった。
 15時の診察だったので、仕事を早退して病院に向かった。その足取りは、軽やかなものではなかった。
 幸いなことに歯の痛みは2週間前より良くなっている。この事実は喜ぶべき事柄だろう。だからこそ考えてしまうのだ。いったいぼくは何のために診察を受けようと歯医者に向かっているのだろう?と。診察席に座っても何のためにここに座っているのか釈然としないままだった。
 歯の痛みが和らいでいることからも、2週間前のぼくの予想は大ハズレだった公算が高い。心配症な性格が無駄にことを荒げただけなような気もする。でも、虫歯なのではないかという疑いを胸に秘めて日常生活を送るのは健康的ではない。それに素人の判断なんていい加減なものだ。やはり、その道のプロに見てハッキリさせてもらうのが一番である。そんな風に自分を納得させる言い訳を考え続けていた。
 結論から言うと虫歯ではなかった。ぼくの想像とは、まったく異なる原因があったのだ。
 歯ぎしりのせいで噛み合わせがずれて、その結果として歯茎がやせていたのが違和感の正体だった。歯ぎしりをしている自覚なんてまるでないのだが、歯科衛生士にも歯科医にも「歯ぎしりの跡がくっきりある」と宣言された。レントゲンに写った歯を指さして「ここがこんなに平らになるほど歯ぎしりしてますよ」と告げられた。ぼくは健康な歯の形を理解していないので、どの程度摩耗しているのかは分からなかった。でも、歯が不自然に平らなのは見て取れた。
 歯ぎしりの原因はストレスらしい。幸か不幸か、ストレスに心当たりがない。案外仕事のストレスではなくて、ゲームでレアアイテムがドロップしないとかそういうことの方が心をえぐっているのかもしれない。
 余談だが、今日の関東地方は台風並みの荒天となった。2年前に歯医者へ行ったときは記録的な積雪の日だった。ぼくが歯医者へ向かうと天気が荒れるというジンクスがあるようだ。次の診察の予定は入れていないので、しばらくは好天が続くはずである。