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ミルクの王者

by 唐草 [2019/07/12]



 コーヒーが好きだと主張する人間にコーヒーの話題を絶対に振ってはいけない。これは、アニメオタクに声優の話を振ったり、鉄道オタクに車両の話を振るのと同じぐらい危険な行為、ともすれば自殺行為と言って差し支えない行為である。間違いなく、早口で己の薄っぺらな信条をまくしたてて来るだろう。世間的にコーヒー好きは、オタクとして認識されていないかもしれない。しかし、閉鎖的でこだわりが強い性質を考えれば、オタクと呼ぶのがふさわしいのではないだろうか。少なくとも鏡に写った己の姿を鑑みる限り、それ以外の考え方は浮かんでこない。
 コーヒーのこだわりポイントは、鉄道オタクのジャンルと同じように多岐にわたっている。なにせ豆を植えるところから話が始まるんだから、話題と争いの火種には事欠かない。どの地域で、どんな豆を育てるのか?その豆はフェアトレードか?焙煎の具合はどの程度か?どんな方法で淹れるのか?どんな器で飲むのか?ミルクや砂糖は入れるのか?入れるとしたらどれぐらい入れるのか?どこで飲むのか?ちょっと思いつくだけでも、これぐらいのこだわりポイントがある。
 冷めた目でコーヒー好きのことを批判しているような語り口のぼくだが、斜に構えた薄っぺらい皮を剥いでみれば多くのこだわりが顕になる。ぼくがこだわっているのは、産地、焙煎方法、入れ方、ミルクと砂糖の有無である。ようするにかなりこだわっているということだ。
 なかでも最近注目しているのが、ミルクだ。
 ぼくはカフェオレと呼ぶのがふさわしいぐらいに牛乳をたっぷりと入れたコーヒーが好きだ。生クリームを使う人もいるが、生クリーム派は少量で多くの乳脂肪分を得ることを目的にしている。なので、ぼくの考え方とはぜんぜん違う。ぼくは牛乳とコーヒーが織りなすハーモーニーを味わっているのだ。
 当然のことながら同じ豆を同じ方法で淹れても、牛乳が違えば仕上がりの味はぜんぜん違うものになる。だから、いつもちょっと高い牛乳を買っている。基本的に乳脂肪分がやや高めの方が、ぼくの好みのようだ。でも、生クリーム派ではないので乳脂肪が高ければ高いほど良いというわけではない。また、メーカーによって牛乳の味も違う。いろいろ試したところ、赤いパッケージのメグミルクに軍配が上がっている。牛乳の味がコーヒーに負けない感じがするのだ。腐っても雪印。やはり、乳製品界の日本王者の貫禄と言ったところか?