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アレが食べたい日

by 唐草 [2019/08/20]



 「今日は絶対にカレーが食べたい!」と言う感じで、自分の欲する食べ物が明確に定まっている日もある。こんな明確な欲求が生じるとき、頭の中ではどんな処理が行われているのだろう?自分のことなのに全然分からない。
 偏食が続いて栄養が不足していると草を食む牛のように野菜が食べたくなったり、胃袋が底なしになったかのように肉に喰らい続けることもある。これらの欲求は体が本能的に特定の栄養素を欲しているという単純な理屈に基づいているのだろう。きっと疲れているときに無性に甘いものを欲するのも同じ。
 では、無性にスパゲッティが食べたくなったときは頭の中で何が起きているのだろう?食材ではなく調理法を求める欲求は、生命に関わる本能的な欲求ではない。無意識の内に料理、この場合はスパゲッティが、サブリミナル効果のように刷り込まれる機会に遭遇していたのだろう。つけっぱなしにしていたテレビで見たのかもしれないし、移動中に隣りにいた見知らぬ人々が話していたのかもしれない。自分では気が付けないほど小さななにかが、頭の中のスイッチを押したに違いない。
 では、今日のぼくを押したきっかけは一体なんだったのだろうか?
 今日のお昼はコンビニの惣菜パンとおにぎりだった。ぼくがコンビニで昼食を買う場合は、お弁当よりもパンやおにぎりの方が多い。コンビニで昼食を買う場合は、時間が限られているときや軽い食事で済ませたいときが多い。だから、お弁当コーナーには目もくれずに小分けのパンやおにぎりコーナーへと一直線に向かう。新製品パンやおにぎりもチェックするが、結局は定番商品に落ち着く。時間のないときに冒険はしない。
 今日も手早く商品を掴んでレジに向かった。いつもどおりの無味乾燥な買い物である。楽しくお昼ごはんを選ぶというより、自分の燃料を購入したという感じである。ぼくの顔は家電量販店で電池を買うときと同じだっただろう。
 お昼を迎えてコンビニの袋からパンとおにぎりを取り出したときだった。ぼくは自分の異様なチョイスにようやく気がついたのである。
 机の上に並んでいたのは、ツナオニオン&コーンパンとシーチキンマヨおにぎりだった。まさかのツナかぶり。今日のぼくはどれだけシーチキンが食べたかったんだ。パンとおにぎりにしようと考えていたことまでは覚えている。でも、深く考えずに2個選んだ結果がダブルツナ。いったい何がぼくをツナに走らせたのだろうか?さっぱり検討もつかない。