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歩かない

by 唐草 [2019/09/14]



 数年前、ポケモンGOがリリースされたときぼくはこう思った。
「捕まえるモンスターがポケモンじゃなくて、ドラクエのモンスターだったらスマホ片手に街を駆け回ったのに」と。
 なんともドラクエ大好き人間らしい意見である。ぼくはギリギリポケモン世代であるが、不思議とポケモンで遊ぶ機会はなかった。だから、ポケモンGOリリース時の熱狂の渦を覚めた顔して眺めていたものだ。
 月日は流れ、ぼくの願いが叶う日がやってきた。ついにドラクエの位置ゲームがアナウンスされた。海外で流行ったゲームを日本風にローカライズすることにかけては右に出るものはいないと信者は言い、アンチはパクリだと口をそろえるドラクエブランドの仕事だ。きっとポケモンGOの良いところはそのままに、不満点を改善した次の世代の位置ゲームを作ってくれるに違いない。反復を要求されるゲーム性に辟易して最近スマホゲームで遊ばなくなってしまったぼくだけれども、βテストに申し込むほど注目していた。
 残念なことにβテストには落選してしまったが、その後も細切れに発信される情報を追っていた。ところが、情報が増えていくのに反比例してぼくの熱意は急速に冷めていった。結局、リリース日を迎えたがダウンロードすらしていない。
 ガチャ必須の課金ゲームだという意見や『星ドラ』そっくりだという意見もぼくの熱意を奪う要因の一部であったが、それは些細なこと。ぼくを落胆させたのは、単純にぼくの想像していたドラクエの位置ゲームとは全然異なっていたからだ。この一点に尽きる。
 リリースされたシステムは、とても合理的で忙しい人でも遊びやすいシステムだと思う。でも、ぼくにはドラクエらしさがあるとは思えない。これが別のゲームブランドを題材にしていても、まったく問題なく成立するだろう。
 ぼくにとってドラクエは、のんびりしたゲームだ。例えるなら、まっすぐ家に帰るよりも、ちょっと寄り道しながら帰ったほうが楽しいのに似ている。好奇心を満たす無駄を用意してくれているゲームだと考えている。だから、「強いモンスターを見つけたから道を変えよう」とかそいう移動だけを考えたら非合理な判断をもっと誘発できるゲームデザインにして欲しかった。
 ようするに、パクるならもっとしっかりパクれと言いたいのだ。