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5分100円

by 唐草 [2019/09/25]



 23区内で生活するとマイカーが邪魔になると言われている。でかけ先で駐車場を確保するのが大変だからだ。わずかな空きスペースを巡って何十人が奪い合いをしているせいだ。無事駐車スペースを確保できたとしても、まだ安心はできない。最低賃金を上回る高額な駐車料金が待っているのだ。30分500円とかなんかはザラにある。油断をすると買い物のために出かけたのか、それとも駐車料金を払うために出かけたのかさえ分からなくなることがある。
 昨日のぼくは、わずか5分のために100円を払うこととなった。自動車ならギリギリ納得できるかもしれない額だが、自転車の駐輪にこの値段を払ったのである。都心のレジャースポットでもない多摩の田舎の駐輪場に対してである。駐輪場のゲートにある自動精算機にコインを投入するぼくの顔は、怒りと失望に満ちていたことだろう。
 5分100円という暴利を貪る悪徳駐輪場が存在するのか?幸いなことにそこまでヤクザな商売をしている駐輪場は存在していないし、仮にあったとしてもぼくは絶対に利用しない。
 5分100円という結果になってしまったのには、数々の不幸と判断ミスが積み重なった結果なのである。それは、あたかも負のピタゴラ装置のように複雑で先の読めない判断の連続だった。
 ぼくが利用したのは初めの2時間無料、以降6時間ごとに100円という良心的な駐輪場である。
 昨日、出かけようとしたら電車が遅延していたので少し早めに家を出た。おかげで予定より早く駐輪場に入庫することとなった。実は、ここから不幸はスタートしていた。チケットには10:47と刻印されていた。早く出たことは正しい判断で、遅刻せず目的地へとたどり着けた。だが、この時ぼくはSuicaの残金が帰りの電車料金を下回っていることに気がついていなかった。
 そして、昨日のイベントはスケジュールより1時間伸びてしまった。致命的なタイムロスだが、まだ挽回の余地は残されていた。しかし、それをことごとく潰してしまったのだ・
 5時過ぎに長時間のイベントから開放されたぼくは飢えていた。コンビニで菓子パンを購入して、Suicaの残金が底を付きそうなのを知る。乗車駅でチャージを済ませたことで、電車を1本乗り過ごす。乗った電車は間隔調整のため途中駅で2分長く停車をした。電車の中で刻々と過ぎる時間を見つめていたが、駐輪料金が加算される18:47は容赦なく近づいてきた。
 小さなタイムロスが重なった結果、ぼくが精算機の前に立ったのは18:52だった。5分オーバーで100円アップである。8時間200円だと思えば適正価格かもしれないが、あと5分早ければ、つまり菓子パンを食べていなければ100円で済んでいたかもしれない。そう思うと、本当に悔しい。