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あの頃のオンラインショッピング

by 唐草 [2019/11/22]



 ブラックフライデーと世間は騒いでいるが、自分には無縁だと思っていた。
 ところが、数ヶ月前から首を長くして待っていた小型コンピュータのRaspberry Pi 4(以下ラズパイ)が今日発売となった。待望の日が、よりによってブラックフライデーと重なるとは。購買を煽る世間の雰囲気に飲まれ、何台も買ってしまいそうである。
 ラズパイ公式代理店は小さなオンラインショップだ。企業からの注文を避けるためか、販売開始は18時に設定されていた。ぼくはお昼過ぎにアカウントを作って発売開始の波に乗ろうと準備していた。なにせマニアックなコンピューターだ。入荷台はきっと限られている。乗り遅れたらすぐに売り切れるだろう。3ヶ月以上毎日サイトをチェックしてきたのに、数分のミスで更に数週間待たされるなんて耐えられない。
 18時が近づくにつれサイトは徐々に反応が悪くなってきた。日本中の物好きが再読み込みボタンを連打しているのだろう。すでに戦いの火蓋は切って落とされているのだ。
 18時過ぎ、数ヶ月間グレーで選択できなかった購入ボタンが鮮やかなラズベリー色に変わった。ついに販売開始だ!脊髄反射のような勢いでボタンをクリックする。
 クリックしても画面は変わらないが、焦りは禁物だ。これは操作ミスではなくてサーバが重いだけ。深呼吸して待っていたら画面は次へと進んだ。ここでアカウントを作っておいたことが功を奏した。住所入力を飛ばして一気に支払いまで進めた。ナイス判断、午後の自分。
 しかし、最後の支払い方法選択で悲劇は起こった。なんとタイムアウトで強制ログアウトになってしまったのだ。まだログインしてから5分も経っていないぞ。あぁ、システムエラーのせいで「振り出しに戻るマス」に止まってしまったかのようだ。購入合戦の先頭を走っていたぼくは、一瞬に最後尾まで戻された。
 反応の悪いサイトを相手に再びログインをして同じ購入処理を繰り返す。そんなことをしていたらなんだか懐かしい気分になってきた。
 あれは20年以上前のことだ。PS2を初日に購入するべく1時間ぐらいオンラインストアで格闘したことを思い出した。今、目の前で展開している購入合戦は、Amazonなどが現れる前の混沌としていた時代のオンラインショッピングと同じなのだ。小さなリソースを大勢で奪い合い、サイトは凍りついたかのように動かなくなる日常。商品にたどり着けるのは運の良い勝者だけ。そんな黎明期だった20世紀末期。
 読込中のマークがぐるぐる回る混雑したサイトを目の当たりにしても不思議とイライラしなかったのは、そんな懐かしい思い出に浸っていたからかもしれない。
 なお、最終的に2台のラズパイを確保することに成功した。ブラックフライデーのぼくは、運の良い勝者だったようだ。