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雨とプライド

by 唐草 [2019/11/27]



 自転車を通勤の足として使っていると雨を目の敵にするようになる。鬱陶しい雨合羽のお世話になるからだ。最悪なのは出かける時は降っていなかったのに帰りには降っているパターン。こういう場合は、なんの雨具も持っていないので濡れ鼠になるしか道はない。
 ぼくが通勤に使っているクロスバイクには泥除けがついていない。だから、道が濡れていると前輪が跳ね上げる飛沫で顔面が、後輪が巻き上げる飛沫で尻がビショビショになってしまう。道路が締める程度の弱い雨でもパンツの中まで雨水がしみてしまう。まるで漏らしたかのようなパンツの冷たさを感じながら「だから雨は嫌なんだ」とつぶやくのである。
「だったら、泥除けをつければいいじゃないか」
 多くの人がそう思うことだろう。駐輪場を眺めれば、9割以上の自転車に泥除けが装着されている。このことからも泥除けが多くの人に支持されているのは明白だ。ぼくだって効果を認めている。クロスバイクが特殊だから泥除けがないなんてこともない。普通に売っている。
 それなのに愚痴ばかり言って泥除けを付けないのはなぜか?
「カッコ悪いから」
 すべてはこの一言に集約される。尻を濡らしたズボンを履いているのもカッコ悪いかもしれないが、ぼくからするとそれ以上に泥除けはカッコ悪いのである。絶対に譲れないポイントだ。
 自転車好きにとって自転車は、パーツ単位で購入して理想の1台を仕上げるものである。だから、普段遣いの手軽さやコスパなんて二の次である。50gの軽量化のために数万円高いチタン製パーツやカーボン製パーツを買うのが当たり前の世界。こだわりの1台に、重くて、空気抵抗を増やして、しかも見た目がカッコ悪い泥除けなんかを付けるなんて言語道断である。
 競技車両のように無駄のない理想の1台を仕上げると、その自転車は常用に適さないものになりがちなのである。
 ぼくのマウンテンバイクには、泥除けどころかスタンドすら付いていない。さらに、そこそこお値段の張るカーボンフレームを使っている。絶対にコンビニの駐輪場なんかには駐められない。有料駐輪場にだって駐めたくない。仮にそんなものが無防備に止められていたら、ぼくだって魔が差してしまうかもしれない。だから、自分の自転車なのに滅多に乗れないのである。
 趣味にこだわればこだわるほど、乗りにくい自転車が出来上がってしまう。これが悲しい自転車乗りのジレンマなのである。