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裸一貫

by 唐草 [2019/12/01]



 この週末、ぼくの生活は小さな基板に中心に回っている。その過程で、ぼくは電子部品の載った緑色の板のことを「基盤」だと思い込んでいた長年の勘違いも発覚した。「基板」が正しい。とにかく寝ても覚めてもラズパイで遊んでいる。昨晩もファイアウォールのiptablesにハマって、気がついたら午前4時を過ぎていた。
 ラズパイが届いたとき、ぼくは新しいおもちゃを手にした子供のような気分だった。おもちゃを持っていることで満足だし、おもちゃで遊べることが楽しかった。きっとぼくの瞳は、ロボットを手に入れた男の子のように輝いていただろう。
 新たな試みを行いながらのセットアップは、悪戦苦闘の連続だが着実に進んでいる。なんでもできる魔法のおもちゃとしてぼくの手元に届いた小さなコンピュータは、実戦的で挑戦的な4代目カラクサラボサーバへと姿を変えつつある。それは、おもちゃが仕事道具へと生まれ変わりつつあるということでもある。
 おもちゃではなく仕事道具としてラズパイを眺めたとき、ぼくは致命的な判断ミスを犯していたことにようやく気がついた。
 ラズパイを収納するケースを購入していなかったのだ。
 おもちゃとして時々使うだけなら基板むき出しでも構わない。でも、猫のいる環境で24時間365日稼働を続けるためには身を守る鎧としてのケースが欠かせない。
 改めて公式通販ページを確認したらいくつものケースが並んでいた。Raspberry Pi公式の赤と白の可愛いケースもあれば、質実剛健な黒いケースや基板の見える透明なケースもあった。なんでこんなにたくさんのケースが売られていたのに、ぼくはその存在にまったく気がついていなかったんだろう。
 本体を購入すべく重いサイトで予約合戦に明け暮れていたぼくの目には、ケースなんてまったく映っていなかった。「絶対に本体を買ってやる!」この欲望だけに突き動かされていたので、ケースを買うという発想がなかった。眼の前のおもちゃに浮かれていて何も見えなくなっていたようだ。
 興奮から少し覚めて現実が見えだした今、ケースをどうするかで頭を抱えている。送料の高い公式で安価でシンプルな純正品を購入するべきか?Amazonでどこぞの馬の骨とも知らない業者が作った高機能でお高いケースを買うべきか?それとも、覚悟を決めて裸一貫で突き進むか?今のぼくの心は揺れている。