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秘密のフォーマット

by 唐草 [2019/12/14]



 大学にいると年に何度も入学試験に出くわす。指定校推薦のような名ばかり入試もあれば、真剣勝負の一般入試もある。AO入試も実施されている。試験形態こそたくさんあるが、どれも内輪の試験である。センター試験と比べたらお遊びのようにゆるい運営で実施される。
 センター試験だけは本当に雰囲気が違う。受験生よりも運営スタッフの方が緊張しているだろう。国からの委託事業のような扱いなので些細なミスすら許されない。まるで誰かの命が懸かっているように張り詰めた空気に支配される。冬の寒さとも違う肌を刺すようなピリピリした空気だ。
 センター試験まで1ヶ月ぐらいとなって今年も学内にも緊張の色が見え始めてきた。
 着実に進むセンター試験の準備を横目に見ていたら、昨年試験監督をしたときのことを思い出した。試験中に技術的な好奇心がムクムクと沸き起こってきてしまい、それを抑えるのに苦慮したのだ。
 気になったのは、英語のリスニング試験で用いられるSDカードの仕様についてである。あのSDカードは、どのぐらいの容量で、どんなフォーマットになっているのだろう?受験生たちが真剣な面持ちで音声を聞きながら解答用紙に向かっているのを眺めながら、ぼくはずっとSDカードのことだけを考えていた。
 試験の音声は約30分。音声データはどのような形式だろう?MP3なのか?はたまた音質重視の無圧縮だったりするのだろうか?音楽CDと同じ形式でも400MBで事足りる。圧縮をしていたら100MBもいらないだろう。今となっては珍しい512MBのSDカードで十分だ。
 SDカードのフォーマットも気になる。暗号化は絶対されているだろうし、独自フォーマットの可能性だってある。
 また、データ破損チェックのためにハッシュ値も保存されているはず。md5のような簡単なものだろうか?それともSHA-256ぐらいのものなのだろうか?
 ぼくは勝手に複雑な仕様を想像しているが実はすごくシンプルで、FAT16フォーマットのSDカードに「センターリスニング試験.mp3」が無造作に置いてあるだけだったりするのだろうか?
 考えてもまったく分からない。だからこそ、SDカードを1枚拝借して自分のPCに挿入してみたい欲求に駆られてしまったのだ。
 もしSDカードの枚数が合わなくなったら、新聞沙汰クラスの大問題に発展することは必至。好奇心の代償はあまりにも大きすぎる。手を伸ばせば答に触れられるのに、絶対に触らせてもらえないもどかしさ。それが試験監督の苦しみである。