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またしても腰をやる

by 唐草 [2019/12/23]



 こんなにもノルディックウォーキング用ストックが役に立つなんて予想もしていなかった。今になって考えてみれば、ストックの購入は実に賢い買い物であったと言える。でも、その事実を素直に受け止められないでいる。
 だって、杖が活躍するということは、それすなわち腰を痛めたということだからだ。あぁ、杖の活躍がトレッキングとか登山とかだったら良かったのに。
 今回腰を痛めた原因は、重量物を運ぼうと頑張ってしまったことだ。50kgぐらいある大型のサーバを撤去しようと3人で頑張っていたときの事故である。狭い場所で無理やり作業をしていたので、足を置く位置を間違えてしまった。わずかに体勢を崩した瞬間に腰が電気を流すような危険信号を発した。体の隅々まで伝わった信号は、イヤな冷や汗となって体の外にまで放出された。残念なことに、その警告は手遅れだった。
 またしても腰の何かがずれたような鈍い痛みがぼくを襲う。
 腰痛が、完全に癖になってしまった感じがする。入念に準備体操をしていたし、体の上下動は膝で行うと意識していたのに、このザマである。
 だが、不幸にも腰痛慣れしているぼくは、背中の筋に氷を入れられたかのような痛みに襲われても動じない。ここで下手に動くと自分自身の体にトドメを刺すことになると知っているからだ。ゆっくりと慎重に動いて上体を預けられる椅子に深く腰を下ろす。そして、腰のベルトをヴィクトリア時代のレディーのように締め上げて、腰回りの筋肉を固定する。コルセットほどの幅はないとはいえ、ベルトを締め上げるだけでもだいぶ違う。
 自分自身に対して冷静な対処を施すことでどうにか腰のダメージを最低限に抑えることに成功した。立ったり座ったりするときは、「うっ」とか汚いうめき声を上げてしまうこともあるが、どうにか歩くことはできる。首の皮1枚でぎっくり腰を回避することに成功したようだ。
 だが、日常生活には大きな支障が出ている。どうにかやっていけているのは、軽くスマートで握りやすいノルディックウォーキング用ストックがあるからに他ならない。今年は春先に猫に餌をやろうとしてぎっくり腰になり、夏に衣装コンテナを持ち上げて腰を痛め、そして昨日のサーバで3度目のダメージを負った。転ばぬ先の杖として保険的な気分で買った杖だが、転んだ後に大活躍をしている。この活躍は嬉しくない。