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セキュアなカード生活

by 唐草 [2019/12/29]



 親から「クレカの明細をネットで見られるようにしてほしい」と頼まれた。喉元まで「そのぐらい自分でやれよ」と出かかったが、グッと飲み込みこんだ。年末年始の休みの長さを考え事を荒らげない道を選んだ。
 カード会社のページへアクセスすると画面には、免責と注釈が山ほど書かれた面倒そうなページが表示された。ペーパレス化するにはアカウントの取得が必要らしい。そんな当たり前のことを、どうしてこうも分かりにくく書けるのだろう?
 親からクレカの入った名刺ファイルを受け取ってアカウント作成を進めていった。カード番号、裏面のセキュリティーコード、メールアドレスとパスワードを入力して準備は整った。
 ところが、送信ボタンを押したらエラーとなった。
 画面には赤文字で「右記のエラーがあります。修正してください」と書かれてていた。だが、エラーが記されるべきエリアは空白だった。これでは何のミスなのかサッパリ分からない。
 カード番号も有効期限もセキュリティーコードも合っている。メアドの@が全角だったのだろうか?パスワードに記号も含めないとダメだったのだろうか?ぱっと見たところ問題はなさそう。それでも、念には念を入れて入力し直した。そして再送信。
 またしてもエラーだった。その後もパスワードを変えたり、メールを別のものに変えたりと様々な変更を試した。何度試してもダメだし、何がエラーなのかは表示されず終いだった。
 完全にお手上げである。
 「なんか無理っぽそう」とぼくは敗北を認めてカードの入った小さなファイルを突き返した。すると親は「古いカードは捨てておかないとね」と言いながら、ぼくが睨んでいたファイルから1枚のカードを抜き取った。
 ちょっと待て、そのカードどこから抜いた!?
 期限切れのカードは、さっきまでぼくが登録しようと悪戦苦闘していたカードの裏からできてたものだった。2枚のカードが重なっていたのだ。つまり、名刺ファイルの中で表面は新カード、裏面は旧カードとして収まっていたのだ。ぼくは必死に新カードの期限に旧カードのセキュリティーコードを入力していたのだ。これじゃあ、絶対に認証されるわけがない。図らずもカードのセキュリティーの高さが証明された瞬間だった。
 気を取り直して新しいコードを使って申請を進めた。ようやく進んだ次の画面にはこう書かれていた。
 「短時間に不正な入力が繰り返されたので24時間ご利用を停止します」
 図らずもセキュリティーの高さが、ってやってられるかよ!