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成長期到来?

by 唐草 [2020/01/06]



 フリーランスから足を洗って久々に就職して以来、自宅で仕事をする時間が激減している。当然のことである。その結果、自宅にあるぼくのPC環境は、活躍の機会を大きく失った。10年近くぼくの片腕となってきたMac proも、今ではただの冷たいアルミの置物でしかない。モニターが2枚載ったPCデスクもちょっとした物を置くスペースとしてしか使われていない。どちらにも薄っすらとホコリが積もってしまっていた。
 お正月休みの後半、ぼくは自室のデスクに相対していた。仕事に取り組んでいるとも言えるし、遊んでいるとも言える。趣味を食い扶持を稼ぐ手段にしているので、自分でも遊びと仕事の線引がよくわからなくなってきている。とにかくPCを操作するために自室の仕事椅子に腰を据えて、デスクの上のモニターを凝視していたのだ。
 久しぶりに長時間デスクに向かっていたら、なんだか他人の席に座っているような違和感を覚えた。機器の配置を変えたわけでもないし、椅子の高さもいじっていないというのにだ。この違和感はどこから生まれてくるのだろう?自分の体の向きとか角度とかを点検しながら、ゆっくりとトラックボールを動かし、キーボードをタイプした。完全に作業なんてそっちのけで、犯人探しに興じることとなった。
 ぼくが導き出した結論は、モニターの高さだった。目の前のモニターの画面位置が低すぎるのだ。まるで下を向いて作業しているようで首が強張ってしまっていることに気がついた。
 目の前のモニターは何年もこの高さで使っている。高さも、角度も、位置もずっと同じだ。それなのに、どうしてぼくは違和感を覚えてしまうのだろうか?
 ひょっとして背が伸びたのだろうか?まさかの成長期到来か?仮にそうだとしたら、身長は変わっていないので上半身だけ成長して座高だけがさらに伸びたことになる。つまり、足が縮んだことになってしまう。あまりにも悲しい成長である。いや、とても成長とは呼べない悲惨な退化である。
 違和感の正体を見破ったので、四苦八苦しながらモニターの高さを調整した。ベストに近い高さまで近づいたときに、ぼくはある事実を理解した。
 ぼくの体と目線は、職場で使っているiMacの高さに最適化されていたのだ。そう、ぼくは自分の体をAppleの製品に合わせるほどの信者なのである。