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弱そうなチーム名

by 唐草 [2020/01/15]



 メジャーリーグの名門球団にボストン・レッドソックスというチームがある。日本人選手が活躍したこともあるので馴染みのある方も多いだろう。ぼくにとってボストンは、ゲーム『Fallout 4』の舞台でしかなく、ボストンの野球場といえば「ダイヤモンドシティ」だし、そこで行われている競技はベースボールではなくてスワッターだと信じている。
 それにしてもレッドソックスというのは、なんとも弱そうな名前である。由来を調べると靴下が赤かったからという身も蓋もない話が出てくる。揃いの赤い靴下は確かに目立つユニフォームかもしれないが、チームの名に冠するほどの迫力は感じられない。日本風にローカライズしたら「東京ジカタビーズ」とかそんな雰囲気なのではなかろうか?チームの輝かしい歴史がなければ、絶対にかっこ悪く聞こえることだろうし、口に出すのも恥ずかしいに違いない。
 通常、スポーツチームは勇ましい名前を選ぶ傾向がある。日本のプロ野球を考えても「虎」とか「竜」とか勇ましい名前がついている(鯉という例外もあるが…)。アメリカのスポーツはあまり詳しくないが、MLBもNBAも多くは勇ましかったり勢いのある言葉が選ばれている印象が強い。そういうチーム名と同列に並べると赤い靴下と白い靴下の場違い感はハンパない。
 ここで逆から考えてみたいと思う。
 もし「誰もが弱そうだと感じる名前を考えてくれ」と依頼されたら、ぼくはどんな名前を付けるだろうか?
 「弱い」とか「小さい」とかのように直接的な言葉を使えばいくらでも名付けることはできるだろう。「スモール・チキンズ」とかそんな感じである。でも、否定的に捉えられる言葉を使わずに弱そうな名前を考えろと言われると途端に難易度が高くなる。吉田戦車のマンガに登場した「ヤング・クリームス」とかは、さすがの命名センスとも言える。
 ぼくの語彙力では、誰が聞いても不愉快にならない言葉で赤靴下よりも弱そうな言葉を作れそうにない。考えれば考えるほど赤靴下って言葉は、最弱クラスの命名に見えてきてしまう。
 そんな弱々しく頼りない名前なのに、多くの人が名門球団の名前として受け入れているし、きっとファンは誇りを持ってすらいるだろう。伝統の力って、理性を蹴散らす暴力に近いのかもしれない。