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単純が一番

by 唐草 [2020/01/28]



 デジタルデータをどう守るかは、難しい問題である。ぼくは難しいことは考えずに、冗長化を重ねている。簡単に言えばバックアップのバックアップを取っているだけ。こうしておけば、一度に全滅することはないだろうという楽観的な考えだ。
 人によっては、複雑なシステムを利用してデータを守っている。クラウドを利用したり、データ保管用のNASを導入したり、ハードディスクを複数台使うRAID構成を使ったりしている。こういう装置やシステムを使うことで、耐障害性は格段に向上する。
 なぜぼくはこれらの堅牢なシステムを導入していないのか?それは、壊れたときの復旧が面倒になるからだ。
 「壊れやすいけど簡単に直せるシステム」と「壊れにくいけれど直しにくいシステム」を天秤にかけて、ぼくは直しやすさを選んでいる。世間的には、愚かな判断だ笑われているのを知っているにも関わらずにだ。
 そんなぼくの元に、とても厄介なものが届いた。それを見たぼくは、周囲から「愚かだと」なじられているぼくの判断の方がずっと正しかったじゃないかとほくそ笑んだのだ。
 手元に届いたのは、起動しなくなったNASだ。せっかくハードディスクを4枚も使ってデータを守っていたのに、OSの設定が壊れてUIが出なくなってしまっていた。こうなってしまうとハードディスクの中身を見ることは難しい。しかも、RAID構成なのでハードディスク抜き出して別のPCに繋いでも中身を確認することはできなかった。
 壊れるときは何をしていたって壊れるんだ。やっぱり複雑にしすぎちゃダメなんだよ。知らない人が触っても理解できる単純さが一番大事なんだ。
 ただ、届けられたNASの中にどうしても取り出したいデータがあるのも事実。動かないからと言って無下にするわけにいかないのが辛いところ。しかし、復旧できてしまうと単純こそ至高というぼくの考えが負けることになってしまう。
 誰もがさじを投げた機器を華麗に修復して技術力の高さを示すか?それとも、無駄な抵抗はやめて主張の正しさを貫くか?どちらに転んでもぼくの優位性は揺るがないだろう。それでも、ぼくの頭の中で天秤は大きく揺れ続けていた。
 ぼくが至った結論は修復だった。だって、みんなが見落としていた初歩的なことで修復できたんだもん。まさか、壊れたNASが「-m」の2文字で直るなんて夢にも思うまい。