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by 唐草 [2020/03/02]



 今日は、大学の教務データベース更新作業に取り組んでいた。データベースは複数あり登録されている情報も多岐にわたる。履修や出席といった基本的な情報からアンケートの回答やオンライン提出の課題といったLMSの心臓部ともいうべきデータもある。ようするに1年生から大学院生までの全学生のすべての活動が記録されている機密の塊である。
 なんの因果かぼくは管理の大部分を任されている。任されていると言うと聞こえがいいが、実際は押し付けられていると言う方が適切かもしれない。どう呼ぶにせよ、数千人のデータを自由に扱える立場にいる。下世話な話が好きな人にとってこのデータベースは、同僚や上司の評価を覗ける宝の山に見えるだろう。だが、他人に無関心なぼくにとってはただの数字と文字の羅列でしかない。つまり適材適所なのだ。
 作業は文字コード変更である。UNICODEが普及して以来、文字化けも見なくなったし、文字コードに悩まされることは減った。SJISだとかEUCだとか騒いで勢力争いをしていたのも過去の話。UNICODEによって文字界の天下泰平が実現したかのように見える。
 だが、人は過ちを繰り返す。争いは形を変えて継続中なのだ。
 今は、UNICODEの実装方法で醜い争いが勃発している。PC世界の裏側は、まるで解釈を巡って争う宗教の内部抗争のようなありさまだ。
 残念なことにPCの裏側で起きている争いを知る人は多くない。今日の作業も「UNICODE対応ならJIS第四水準の漢字も使えるよね」と勝手に判断した自称PCに詳しい人がバラ撒いた大問題の尻拭いなのである。
 約450個のテーブルをせっせと変換していく。理屈では準備しておいた900個のコマンドで片付くはずだったが、現実は厄介だった。変換中のエラーでテーブルが壊れたり、秘密裏に仕様が変わっていた部分があったりと、ぼくの進む道は障害物競争のようだった。それでも、めげずに知恵を絞って障害を跳ね除けていった。
 最後の同期作業までたどり着いたのは、作業開始から5時間以上が経過した頃だった。最後に同期コマンドを実行したら、データがほとんど消えた。このままでは大学の業務は完全に停止してしまう危機的な状況だ。
 とは言え、これも想定内のエラー。キリキリ痛む胃を抑えながらバックアップから復旧して事なきを得たが、今日の作業はすべて水の泡と消えたのであった。