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結果だけの正解

by 唐草 [2020/03/26]



 行動自粛要請を受けての食品買い込みは、完全にマスクと同じ展開である。何度買いだめをすれば気が済むのだろう?人々は何も学んでいないのか?
 そうではない。人々は学んでしまったのだ。世間の皆が想像以上にバカで臆病だということを。昨日の発表を聞けば、買いだめに走る人が出るのは誰にでも予想できる。うかうかしていたらまたしても先を越されてしまう。自分は買い占めのために店に走るのではない。自分ではないどこかのバカが不要な買い占めをする前に必要な分を確保しなくてはならない。大勢がこう思った結果が、空っぽのスーパーなのだろう。
 ぼくは、この騒動を他人事のように見ていた。1週間程度自宅に引きこもる準備を早々に終えていたからである。
 先月末にマスクが街から消えたとき「次に売り切れるものは何だろう?」と考察した。ぼくの出した答は食料品と医薬品だった。だが、数日後にデマを発端とするトイレットペーパーの騒動が起きてしまったので、予想は外れたかのように思えた。それでも、ぼくは自分が間違っているとは考えていなかった。シナリオが悪い方へと進めば、感染しても自宅療養を余儀なくされるパンデミックが来ると信じていた。
 だから、政治家がオリンピック延期を公然と語るようになったときには、フェーズが1段階危険な方向へと進んだのだと確信した。その段階で行動を開始していたし、都知事が都市封鎖の可能性を口にしたときには準備を終えていた。
 備蓄食というとついつい震災への備えを考えてしまう。これは防災教育がもたらした過学習にも似た弊害かもしれない。もし、都市封鎖されても電気や水道と言ったライフラインは止まらない。だから、別に簡単に調理できるものを揃える必要はないという結論に至るのに少し時間を要してしまった。いつものものを少し多めに買えばいいだけなのだ。
 結果から考えると、ぼくが1ヶ月前にした予想は当たっていたことになる。想定していたより感染状況はずっとマシで、医療崩壊も起きていない。でも、ぼくらの心は見えないウイルスへの猜疑心でいっぱいになって、理性を失っている。疑いはウイルスと同じぐらい厄介な存在としか言えない。
 食糧不足という結果こそ的中させたが、そこへと至る道筋はまったく予見できていなかった。これを正解と言えるのだろうか?