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ラジオってこんな感じ?

by 唐草 [2020/05/27]



 今日も遠隔授業を実施した。前回は生活ノイズを除去することに注力しすぎて、石化したかのように身じろぎひとつせずにライブ配信を行った。その結果、たった90分の短い時間だったというのにぼくの尻は悲鳴をあげてしまった。しかもダメージは翌日まで残ることとなった。
 同じ轍を踏むことだけは避けようと今日の配信に望んだ。つまり、授業中にぼくが考えていたのは自分の尻の事ばかりなのである。偉そうに上から目線で一方的に喋っている姿からは、およそ想像できない思考だ。なんとも滑稽な状態である。
 しかし、その甲斐あり2度目の配信は尻へのダメージなく終えることに成功した。この点に関してだけは、満足できる結果となった。
 2度目の授業は、尻のことを考える余裕があったとも言える。自分を俯瞰できるほどの冷静さはなかったが、それでも初回に比べると様々なことが見えた。
 2回目の配信の感想を一言で表すのなら「張り合いがない」に尽きる。
 先週までは、自室にいながら授業を行えるなんて夢のようだと考えていた。早起きもしなくていいし、トイレに並ぶこともない。なにかトラブルが起きたらマイクをミュートにすればいくらでもごまかせる。そんな風に良い面だけを想像して期待を膨らませていた。
 実際に遠隔授業を実施してみたら、つまらなかった。いつもと同じことを話しているのだが、学生たちのカメラもマイクもOFFにさせているのでなんの感触も反応も返ってこない。暖簾に腕押しでさえ布の感触があるが、ぼくの配信にはなんの反応もない。自室にこもって大きな声で独り言を言っているだけにしか感じられないのだ。
 教室に入る前は、いつも緊張で胃が痛くなったり、ゲロを吐きそうにえずいたりしていた。だから聴衆の前に立つのはキライなんだと思っていた。どうもそうじゃないようだ。オエオエいいながらも、その緊張感に達成感を見出していたのだろう。
 ぼくは楽器の経験はないが、この感覚はライブでの演奏が好きな人と似た心理なのかも知れない。聴衆からのシビアな反応がリアルタイムであるからこそ、成功したときの達成感が大きいのだろう。
 ぼくの配信は梨の礫である。虚空に向かってひとり喋り続けるのはぼくには荷が重い。そう考えると、ラジオDJってすごいな。