カレンダー

2020/06
 
    
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

気化熱パワー

by 唐草 [2020/06/11]



 先週末から始まった職場へのオンライン体温報告。Webページの専用フォームに体温を入力するだけでいいのだが、すでに入力を忘れる日が続出している。まだ自分の習慣に組み込まれていないので、体温を計ったにも関わらず入力を忘れてしまった日すらあった。この感じだと流れるように自然に登録できるようになるのは、まだまだ先だろう。その頃にはコロナの脅威も去っているかもしれない。
 毎日体温を計るようになったら興味深い事実を確認することができた。一般的に人間の体温は、朝が低くて時間が進むに連れ徐々に上昇していくと言われている。だが、自分自身でその変化を実感することはできない。今のぼくのように体温測定を思い出したタイミングで毎日異なる時間に測定を行っていると、自分自身の体温と時間の相関関係を数字で知ることができる。朝は36.0℃前後だが、夕方には36.6℃ぐらいになっているようだ。この変化はぼくの想像よりずっと大きかった。
 こうして一般論の正しさを理解することができたが、検温時間が不定期なぼくのやり方では健康チェックにならないことも明らかになってしまった。
 検温時間がまちまちだと様々な外部的要因に左右されることが明らかになってきた。昨日検温を思い出したのは、オンライン授業を終えたあとだった。1時間近く椅子に座ったままマイクに向かって喋り続けていたぼくは、足りない脳を酷使したので額から汗が流れるほど体が活性化していた。
 この状態で体温測定をするのは、毎日の健康チェックの趣旨から逸脱しているのはよく分かっていた。でも、それ以上に特殊な条件下の自分の体を理解したいという好奇心が勝ってしまった。ぼくは汗ばむ体で体温測定を強行した。
 いつものように脇に体温計を挟んだ時、大きな違和感を覚えた。着ていたTシャツが湿っぽくなるほど汗をかいていたぼくの体の表面は、ひんやりとしていた。脳へと血液を送りまくって火照った体を汗の気化熱が急激に冷ましていたのだ。
 体の芯にこもった熱と表面の気化熱。どちらが勝っているのだろう。ぼくは好奇心に目を輝かせながら検温の結果を待った。
 5分後、アナログ温度計の目盛りは35.8℃を指していた。気化熱の勝ちである!