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96%寝てる獅子

by 唐草 [2020/07/13]



 2週間前にハイスペックサーバの設置を行った。特筆すべきはCPU。市販の最高級品の倍以上のコア数を誇る32コアという驚異の性能を誇っている。時代がマルチコアからメニーコアへと移行したことを実感するスペックである。
 先日、この性能をフェラーリなどのスーパーカーに例えた。PCオタクが目を輝かせてしまう製品という意味では、自動車マニアにとってのスーパーカーと同じ憧れの存在である。でも、時速300km/hを超えるスーパーカーのように速いのかと言われるとそうではない。厳密に性能を車に例えると、バスかトラックと言ったほうが適切だ。そう考えるとワクワク感がだいぶ減る。
 コア数というのは処理能力指標の1つ。でも、単純に計算速度の速さを示すものではない。同時にいくつの計算を行えるのかという指標である。人海戦術で処理をこなすという感じに近い。だから並列処理の必要のないゲームをこのサーバでプレイしても2倍の性能が発揮されるわけではない。逆に小さなプログラムを数千個同時に動かした場合には劇的な違いが出る。
 要するに、このサーバを個人で所有してもほとんど恩恵に預かれないということだ。PCの構造と特徴を理解して適材適所の投入が求められるのである。
 だからこそ、ぼくは今とても虚しい気分に襲われている。
 2週間に渡ってサーバの設定を行ってきた。性能に見合った野心的な設定などを施している。本格稼働すれば、素晴らしい体験をもたらしてくれることだろう。それについては太鼓判を押している。
 だが、現時点でこのサーバにアクセスしているのは、ぼくひとりである。それもコマンド経由でチマチマ操作しているだけ。だから、使っているのは32コアの内の1コアだけ。96%の性能を持て余している状態だ。これは車に例えるならば、スーパーカーに乗ってコンビニへ近所の行くようなものだし、大型トラックで小包1個だけを運んでいるようなものでもある。そしてなにより、ぼく自身もサーバの性能を実感できないでいる。心持ち速いような気がするぐらいの感想しか抱けていない。ハッキリ言って気のせいで済ませられる誤差の範囲だ。
 モンスターマシンの性能を解き放つために1日でも早く稼働させたいのだが、そういう訳にもいかない。宝の持ち腐れとしか言えない悶々とした状態が当分続きそうである。