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目覚めの良し悪し

by 唐草 [2020/07/18]



 最高の目覚めってどんなものだろう。小鳥の歌声で目覚めるというのには絵画的な美しさがある。とは言え、朝に鳴く鳥は日の出と同時にさえずり出す。鳥の歌声が聞こえるように窓を開けている季節だったら午前4時半ぐらいの目覚めになるし、窓を閉めていても聞こえるほどの鳥の声はさえずりなんて可愛いものではなく騒音だ。
 自然を感じるのではなく、人のぬくもりで目覚めるというのも悪くはない。ベッドをともにした恋人の肌の暖かさで目覚めるのは多くの人が思い描く理想像かもしれない。しかし、一歩間違えれば寝返りから生じるパンチを無防備な体で受ける羽目になる。
 今日の目覚めは、残念ながら最高の目覚めからかけ離れたものだった。それでも、良い目覚めと悪い目覚めのどちらなのかと問われると迷ってしまう。自分では最悪に近い目覚めだと思いながらベッドから這いずりでた。でも客観的に見れば、他人に無理やり起こされることなく目覚めたとも言える。果たして良い目覚めだったのだろうか?それとも悪い目覚めだったのだろうか?
 今朝、ぼくの睡眠に終わりを告げたのは胃だった。胃が、睡魔を打ち破るほどに訴えてきたのだ。
 幸いなことに胃が発してきた緊急信号は、ぼくをトイレへと駆け込ませる類のものではなかった。ぼくが向かったのは台所だった。そう、ぼくの胃は寝ていられないほどの空腹を訴えてきていたのだ。
 昨日の晩だってちゃんと食べている。量が少なかったり、時間が早かったなんてこともない。いつもの時間に普通の食事をとっている。どういう訳か今朝は、忙しくて昼食抜きになってしまった日の夕方のように飢えていた。その飢えは、寝ぼけ眼のぼくの体を乗っ取ったかのように動かしていった。
 普段の朝食はトースト1枚にコーヒーが定番だ。それだけ食べれば十分なのは知っているのだが、体が操られているかのように朝食の支度を進めていった。気がつけば、ウインナー、目玉焼き、ハッシュドポテト(冷凍)をフライパンで焼いていた。まるで西洋かぶれの意識高い系が好みそうな朝食が出来上がっていた。ウインナーにはマスタード、目玉焼きには塩胡椒、ポテトにはケチャップとやはり意識高めな調味料を選んだが、手にしていたのは箸だった。
 こうしてぼくは寝るための栄養補給を終えた。食べ終わると同時にベッドに戻り、満腹の二度寝へと旅立ったのである。やっぱり、良い目覚めだったのかも。