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まっすぐ切れない

by 唐草 [2020/07/24]



 毎朝のようにぼくを悩ませる小さな問題がある。
 ことの発端は、コロナのせいで生活スタイルが変わったことにある。在宅勤務になったことで、朝に弱いぼくもちゃんと自宅で朝食をとるようになった。この変化が問題の引き金になった。
 パン好き一家の我が家の朝食は、元日であろうともトーストだ。ぼくも月に29回ぐらいは朝食にトーストを食べている。夏だけはグラノーラに浮気することが多いが、それは暑さのせいだ。
 そんな家庭なので、パンは1.5斤サイズの大きな塊で購入することが多い。食べるときにそれぞれが、その時の気分と食欲に合わせて好みの厚さに切ってトーストする。しっかり食べたいときは、厚切りトーストをしっかり焼いてバターをたっぷり塗って、そこにメープルシロップをかけて食べる。逆に軽く済ませたいときは、薄切りにしたパンを表面がカリッとする程度に軽く焼いてフルーツジャムで食べる。時にはからしマヨネーズにハムを乗せることもある。毎朝トーストと言っても豊富な食べ方ができるのだ。
 本題に戻ろう。毎朝のようにぼくを悩ませているのはパンを切ることだ。塊のパンから1枚のスライスを切り出すのは簡単なようでいて難しい。満足できるスライスを切り出せた経験なんて数えるほどしか無い。大抵の場合、不格好に歪んでしまう。
 大きなパンの塊に対峙して包丁を垂直に振り落とすことは単純ではない。真っ直ぐな線で切っていくという2次元的な考えで包丁を手にしてしまいがちだが、これが根本的な誤りである。パンに対する刃の動きには、立体的で奥行きとひねりを意識した3次元的な動きが求められるのだ。これが今までに数百回包丁を振り下ろして学んだことである。
 だが、頭で分かっているのと体を動かせるのは別の話である。
 「何も考えずに切るとパンの下のほうが厚くなる事が多いので、意識して下を薄めにしよう」なんて考えると大抵の場合、パンの下は透けて見えるぐらい薄くなる。また、前回斜めに切ってしまったのでそれを考慮して刃を入れてみようと色気を出すと、そういうときに限ってびっくりするほどまっすぐ切れたりする。結局の所、どう意識しても歪んだスライスが出来上がる。まるで、パンに遊ばれているようである。
 今朝のパンも不格好な台形だった。きっと明日も歪むだろう。いつの日か、熟達したパン屋のように真っ直ぐに切ってみたいものだ。