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違和感のない夢

by 唐草 [2020/07/26]



 夢を見ていたという確かな感覚とともに目を覚ますことがある。夢の内容を克明に思い出せることもあれば、漠然としか思い出せないこともある。きっと、夢見たことを全く思い出せない日もあるのだろう。
 夜寝ている間に見る夢は、見ているときはどんな内容であれ現実にしか感じられない。空を飛んだり巨大なモンスターに追われたりと現実ではありえない現象が起きていても当然のように受け止めている。また、瞬間的に場面が切り替わっても慌てることなく平然としている。
 人によっては夢の中で夢だと気がつく明晰夢を見ることがあるという。ぼくは頻繁にカラフルな夢を見るが、明晰夢を見た経験は無い。現実に即した夢であっても映画のように荒唐無稽な夢でも、内容に関わらず見ているときは現実だと信じ切っている。それは起きているときに現実を疑わないのと同じだ。
 目が覚めてから自分の記憶に残っている体験や感覚を振り返って違和感を覚えたとき、人は自分の体験が現実ではなく夢だったと気がつくのだろう。もし目が覚めなかったら、ぞれを現実だと受け入れてしまうかも知れない。
 ここでひとつの疑問が思い浮かんだ。
 もし、目が覚めてから一切違和感を覚えないほど現実に即した夢を見た場合、脳はその記憶をどう処理するのだろう?
 知っている場所で、知っている人が、いつもと同じようなことを喋り、いつもと同じように振る舞う。ぼくはこんな感じのリアルな夢を見た記憶は一度もない。そう固く信じているが、本当に見たことはないのだろうか?
 ひょっとしたら、毎晩のようにリアルな夢を見ているかもしれない。その夢では、ぼくは自室でキーボードを叩いて1,000字ぐらいの文章を打っているかも知れない。はたまた、コントローラーをがっちりと握ってオンラインゲームで遊んでいる夢かもしれない。
 こんな夢だったとしたら、ぼくは寝起きざまに脳裏に残っている記憶を夢だとは認識できないだろう。本当は、リアルな夢を見たことがないわけではなくて、しょっちゅう見ているにも関わらず夢だと認識できていないだけかもしれない。
 今、書いているこの文章は現実だろうか?日刊更新のフリを10年以上継続なんて、とてもじゃないけれど現実とは思えない。どうも夢っぽいな。