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赤のレンジ

by 唐草 [2020/08/01]



 庭のゼラニウムが鮮やかな花を開いている。ようやく梅雨明けしたとは言えこの長雨で、庭のありとあらゆるところが苔むしてしまって鈍い緑に沈んでいる。ゼラニウムの存在は湿度の高そうな狭い庭に差す一筋の光のようにも見える。
 その鮮やかな花の色を表すのにどの言葉を用いるかでちょっと揉めてしまった。
 ぼくは、その花を赤い花だと認識している。もちろん一言に赤と言っても様々な赤があることは承知している。
 血の色やワインのように深く濃い赤もある。自動車好きなので赤というとフェラーリの赤が浮かぶ。強い太陽に映えそうな攻撃的な赤は、イタリアならではの色だろう。日本車であんな赤は見たことがない。一方で日本には漆器の赤のような落ち着いた赤がある。西洋人には区別が難しいようだが、日本の赤と中国の赤は違う。この機微の差を見分けられてこそ、アジアを理解したと言えるのかもしれない。
 庭に咲くゼラニウムの赤は、日本の赤というより中国の赤を思わせる明るさを持ている。もし絵の具で作るとしたら、赤にちょっとだけ隠し味の黄色を混ぜるといい感じになるだろう。
 ぼくの赤だという主張に対して、家族の意見は真っ向から対立した。向こうの色区分ではオレンジに相当するそうだ。
 確かにぼくも花の色の中に黄色に通じる要素は見出している。先に述べたように絵を描くなら黄色を加える。でも、オレンジだと認識するほど黄色を加えることはしない。
 ぼくにとってオレンジとは、果物のオレンジの色が基準になっている。赤と黄色の中間をオレンジと呼ぶのかもしれないが、ぼくの基準は違う。絵の具で作るのなら黄色7に赤3ぐらいの割合で初めてオレンジと呼ぶだろう。だから紅葉にオレンジを見出すことは少ない。ちなみにミカンの色は黄色だと認識している。
 別に双方のどちらの主張が正しいかを論じようとしているのではない。個人によって色の判断範囲がまちまちだということを言いたいのだ。とは言え、周りの人が口を揃えてオレンジだと主張しようともぼくは絶対に赤だという主張を取り下げるつもりはない。
 小学生の絵の具セット程度の色数では、赤とオレンジという対立しか生まれなかった。色の名前はもっと奥深い。もう少し和調のパレットを引き合いに出したところ、双方とも「朱」という結論に至った。