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懐かしさを通り越して

by 唐草 [2020/09/02]



 昨日、PCのバックアップ領域から古いリソースを引っ張り出そうと躍起になっていた。たぶん15年以上前に作ったデータだったはず。どのフォルダに入っているかは覚えていないけれど、何年経とうと命名の癖はそう変わらない。無駄に深いフォルダの階層をスイスイと進んだ先に目的のファイルはあった。
 ぼくが探していたのは、このサイトで公開していたFlashゲーム『ギコネコ2』の敵キャラの画像ファイル。1キャラにつき前後と横の歩きモーションが2枚と攻撃ポーズと被ダメポーズが1枚ずつあって、それに加えて睡眠が1枚の計13枚で1セット。右向きと左向きは反転して使いまわしているので横向きは1パターンしか無い。それが30キャラ分ぐらいある。いくら暇を持て余していた時期とは言え、よくこれだけの画像を用意したものだ。我ながら感心してしまう。
 努力の結晶と呼びたい画像たちを見ていて思うことがあった。
 敵キャラは当時人気のアスキーアート(AA)をぼくがイラスト化したものだ。AA文化全盛期とも呼べる時代だったので様々なAAがまだ文字しか投稿できなかった当時の掲示板に彩りを添えていた。白黒の動かぬキャラを見て、好き勝手に色や動きを想像していた。
 SNSの台頭でAA文化は徐々に下火になっていった。画像や絵文字、スタンプを使ったほうがずっと簡単だし、見た目も華やかだ。テクニカルなコピペが必要なAAなんて好き好んで使う人は少ないだろう。
 いつしかAAも掲示板の花形から時代の流れを象徴する古代文字のような存在へと変わってしまっていた。
 久々に自分のイラストを見ても元ネタのAAを思い出すことすらできないものが多かった。AA全盛期の時代にコンテンツをリアルタイムで楽しんでいた世代のぼくですら思い出せないのだ。ツイートもしたが、デジタル・ネイティブ世代の若者からしたらぼくのイラストを理解することはできないだろう。ましてや、昔これらを文字で描いていたと言っても信じてもらえないかもしれない。
 このサイトは、記録されることもなければ記録する必要も希薄なネット内の文化を後世に伝えられたのだろうか?誰かの脳の一部を無為な情報で埋められたのなら本望だ。