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ローマ字の実力

by 唐草 [2020/09/16]



 道路標識から駅名に至るまで公共施設の看板にはローマ字で名称が書かれている。建前上、日本語が読めない外国人のための表記ということになっていたと記憶している。とは言え、ローマ字表示に助けられている日本人も少なくないだろう。ぼくもそのひとりだ。
 地名の読み方は一筋縄ではいかない。関東圏だと千葉県に難読な地名が多い印象がある。猫実(ねこざね)とか酒々井(しすい)のように見慣れた漢字の字面からは想像できない突拍子のない読みが多い。千葉出身の友人に難読地名クイズを出されて、手も足も出なかったこともある。
 そんな地元民しか読めない固有名詞にぶつかったときに助けてくれるのがローマ字。アルファベットを1文字ずつ読んでいけば、どんな難読漢字もたちどころに読みこなせる。表音文字の強さを思い知らされる瞬間でもある。
 海外の人に日本語を読んでもらいたかったら、とりあえずローマ字で書いておけ。これが日本人の常識だろう。
 でも、この常識って本当なの?
 今日、この疑問に対する答を知る瞬間に恵まれた。いや、巻き込まれたと言ったほうが良いかもしれない。
 ゲーム『Fallout 76』で適当に参加したパーティーがボイスチャットチームだった。ぼくを除く3人が英語で会話をしていた。
 すると、すかさず何かを話しかけてきた。このフランクさは日本のゲームではまず味わえない。彼らはとても友好的だったが、ぼくは英語を話せないし、ボイスチャット環境もない。ぼくがパーティーを抜けるのが、もっとも平和的な解決策だろう。
 そそくさとチームを抜けようとした時だった。
 パーティーで一番おしゃべりな人が、ぼくのIDを読もうとしていた。このゲームではローマ字表記のkarakusaを使っている。もし、ローマ字が本当に外国人にフレンドリーな存在であれば、すぐに読むことができるだろう。
 実際はそうではなかった。母音の多さに頭を悩ませているのか、複合語だと考えて区切りを見つけようとしているのかは釈然としなかったが、どう読むのかを声に出しながら試行錯誤していた。特に後半のkusaの部分に悩んでいたようだ。
 ローマ字なんて全然読めないんだな。英語ネイティブに優しい「カラクサ」の表記方法を考えないと。