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シュレディンガーの返金

by 唐草 [2020/12/15]



 ゲーム『サイバーパンク2077』が予想の斜め上を行く感じで炎上を続けている。火の勢いは衰えを知らない。
 このゲームはPC版でもCS版でも呆れるほどバグが有る。突然のクラッシュ、イベント進行フラグの矛盾、描画エラー、謎の突然死と種類も豊富だ。ゲームにおける真の敵は画面内の強いボスではなく、前触れ無く襲ってくるバグとクラッシュだ。
 多くの人はこの壊滅的状況に音を上げている。ぼくのようにFalloutでバグ耐性を鍛えられた人間でも頭を抱えたくなる。クラッシュ対策のためにこまめなセーブが欠かせないが、セーブしすぎると進行不能バグごとセーブしてしまうリスクもある。ミッションごとにセーブスロットを分けるなどの泥臭い対策が欠かせない。
 非難の的になっているのは、残念ながらバグだけではない。CS版のグラフィックのクオリティーの低さも火に油を注いでしまったようだ。PVで流れていた美麗な画面を期待して買ったのに全然違っていた。そんな声も聞こえてくる。ゲーム業界ではPV詐欺が日常茶飯事。PC版の要求スペックを考えれば、こうなることは事前に分かっていたはず。ぼくは、街にNPCがいないとか遠景が遅れてロードされるとかぐらいまで期待値を下げていたので、想像よりしっかりしていると感激さえしてしまった。
 それでもキアヌ・リーブスが演じるゲーム内のキャラ「ジョニー・シルヴァーハンド」のクオリティの低さにはがっかりを隠せなかった。顔の輪郭と鼻は似ているが、目つきがタレ目でぜんぜん違う。自称キアヌ・リーブス似のコスプレのオッサンにしか見えない。
 修正パッチを待ちながらゆっくり遊んでいくかと諦観にも似た心持ちでコントローラーを握っていた。
 そんな中、寝耳に水と言うべき情報が飛び込んできた。開発元がCS版のクオリティーが不十分だったことを認めて返金対応を始めたのだ。前代未聞の展開である。
 誠意ある態度に見えたし、バグ発生ごとに長い再起動を要求されることに疲れ始めていたぼくも返金してもらおうかと考え始めていた。
 だが、返金制度の仕組みが明らかになると風向きは一気に変わった。完全に大炎上である。DL版は未プレーだった場合のみ返金対応してもらえるらしい。でも、遊んでみなきゃ問題を認識することはできない。だが、問題を確認してしまったら返金は不能になる。
 シュレディンガーの猫か?