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意識高い豆

by 唐草 [2021/02/11]



 レンズ豆って日本では馴染みのない豆だ。名前を聞く機会なんて「レンズの語源はレンズ豆」という雑学紹介のときぐらい。ましてや実物なんて見たこともない。ぼくはどのぐらいの大きさのでどんな色をした豆なのかも知らなかった。
 海外では結構使われているらしいという話を聞いたことはあったが、スープに入れるらしいというおぼろげな話しか知らない。海外がヨーロッパなのか、それともアフリカなのかも知らないし、どんな調理を経てスープに入るのかも知らなかった。ぼくにとってレンズ豆は空想上の存在と大差ないぐらい希薄なものだった。ドラクエの「力の種」やドラゴンボールの「仙豆」のほうが、よっぽど身近な存在だとさえ言える。
 先日、イギリスの料理番組を見ていたらレンズ豆が出てきた。生まれてはじめてレンズ豆を目にすることになった。そして余計な知識とともにぼくの脳裏に刻まれることとなった。
 画面に映っていた豆は想像よりずっと小さかった。レンズの由来の逸話から勝手にそら豆ぐらいの大きさだと想像していた。本当のレンズ豆は小豆よりずっと小さくて、画面越しだと米粒よりちょっと大きいぐらいにしか見えなかった。ぼくの感覚だと豆ではなく種と呼びたいサイズ。もっともぼくの中の豆と種の違いに明確な境界なんてないけれど。
 番組では大量の乾燥レンズ豆をそのままスープに投入して煮込んでいた。いったいどんな食感になるのかなんて全然想像できない。粘り気のないお粥のような感じだろうか?初めて姿を理解したレンズ豆だが、いまだ謎のベールに奥に隠された存在であることには変わりない。
 番組を通じてレンズ豆に関するイギリス人のイメージを知ることができた。番組のやや大げさな話しぶりを素直に信じるのであれば、どうも向こうでは意識高い人が好んで食べる食品というイメージがあるらしい。健康オタク御用達食品という感じだ。
 そうか、レンズ豆ってそういう存在なのか。どうもぼくには縁遠そうな食品のようだ。
 というか洋の東西を問わず過度に健康意識が高い人って煙たがられるんだな。そんなところに感心してしまった。