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唯一楽しい2週間

by 唐草 [2021/03/19]



 以前にも書いたが、F1ファンにとって開幕直前の今が一番楽しい。シーズン中より開幕前のほうが楽しいF1は、かなりいびつな構造のスポーツと言える。
 3月後半が一番楽しいのは、開幕戦を目前に控えているからだけではない。2月に発表された今年の車の性能の一端が、先日の合同テストで示されていることが大きい。テストで見えた性能から今年のシーズンがどうなるかをアレコレ想像して楽しむのだ。
 合同テストではチームごとにテスト内容が異なっているらしい。あるチームは予選を意識して最速タイム向けのセッティングを試しているし、別のチームはレース本番に向けてガソリンを満タンにして走った際の安定性をチェックしている。だから、テストで出したタイムだけでは本当の実力を推し量ることはできない。
 それでも豪華な新車発表会で動かない実車とカッコいいだけのCGを見ているのとはぜんぜん違う。動いている車を目にすれば、ダレもが評論家を気取ることができる。チームのことなんて何も知らないし、どんな意図でテストをしているのかを理解していなくても偉そうにあーだこーだ言うのはとても楽しい。
 F1は年間20戦ぐらいある。長丁場のシーズン中に様々なことが起こりそうだが、残念ながらそうなることは少ない。F1で結果を左右するのはドライバーの技量でなく車による部分が多い。車の性能が圧倒的だった場合、一強による支配的なシーズンとなる。ここ数年の傾向だと初戦に勝利したチームが独走を続けるパターンばかり。そんなチームは初戦の予選でも強い。だから1年間の動向は、初戦の予選の1分40秒ぐらいでほとんど決まったも同然だ。
 スポーツ観戦の楽しみは、どうなるかわからない展開にドキドキすることと贔屓のチームや選手の活躍を見ることにある。マラソンのように地味な絵面でも2時間テレビに釘付けになってしまうのは、何かが起きるんじゃないかという期待感に支えられているだろう。
 開幕直前の今は、車の素性は見え始めているけれど、イコールコンディションでの実力差が分からない貴重なタイミング。それは、今後の展開に素直にドキドキワクワクして童心に帰れる貴重な2週間。それが過ぎれば、ほとんど楽しみなんて残っていない。