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抹茶ラテのリズムで

by 唐草 [2021/04/06]



 『FF7リメイク』で遊んで一番ショックを受けたのは、ゲームの舞台である巨大都市「ミッドガル」の発音だった。アクセントの位置が、ぼくの想像とは違っていた。
 ぼくはオリジナル版の発売以来ずっと「ガ」の部分に弱めのアクセントがある平坦な発音だと考えていた。「抹茶ラテ」と同じ発音だ。ところが、ボイス付きになったリメイクでは「ミ」に強めのアクセントがあった。「フィットネス」に近い発音。
 架空の都市名の発音なのでメーカー公式の発音が絶対的に正しい。そうは分かっていても、20年以上自分が信じていた発音と違うのはなかなか受け入れられなかった。最後までキャラが喋るたびに無視できない違和感を覚えていた。
 ゲームの地名や呪文などの固有名詞をどう発音するかは、ファンの間でも意見の割れる話題。ドラクエだと回復魔法「ベホイミ」のアクセントがどこかで議論になっているのを見たことがある。きっと他のゲームでも同じようなことが何度となく繰り返されてきたのだろう。
 ぼくもこの手の議論に参加することがあるが、相手を論破しようとしているのではない。絶対に結論の出ない話に参加して、いつまでも同好の士と語らっていたいだけ。だから白黒つかない方が嬉しい。
 ところが、昨今のゲームの進化や情報配信の変化で様々なものに白黒が付き始めている。
 「FF7リメイク」のようなフルボイス化であったり、製作者の出演する生放送での発言が、ファンの議論にとどめを刺している。製作者の発音が絶対に正しい。「公式が勝手に言っているだけ」と見苦しく足掻いたりはしない。素直に唯一の正解を受け入れるだけだ。
 エンターテイメントの進化を考えれば今のゲームの姿は、テクノロジーを貪欲に吸収し続けた正当な進化と言える。ぼくだって、その進化を歓迎している。ところが完璧に近づくにつれて、何もかもが顕になって想像の余地が次々と潰されてしまったように思える。
 隙間を想像する遊び心を忘れないように、ぼくはいつまでも「抹茶ラテ」のリズムで「ミッドガル」と言い続けよう。