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ポピーというかケシ

by 唐草 [2017/05/09]



 何年か前から近所に野生のポピーの花を見るようになったということを書いている。日記をつけていることのおもしろい点は、簡単に過去の興味や関心事を確認できることにある。ポピーがこのブログに初登場したのは、2010/5/21の記事だ。つまり、7年も前から花にさして興味のないぼくの注意を引くほどにポピーが繁殖していることが確認できる。
 この季節になると薄い和紙でできたようなオレンジ色の花が目立つ。かわいらしい花とは裏腹に驚異的な繁殖力がある。街路樹の根元やコンクリートの隙間なんかからも顔を覗かせている。ここ数年繁殖域に変化は無いように思えるが、それは沈静化を意味しているのではない。すべてのコンクリートの隙間がポピーに覆われているということだ。解き終わったクロスワードパズルのように、もうどこにも新しいものを加えられないほどに繁殖していると考えるべきなのだろう。
 うちの近所だけがこんな感じなのかと思っていたのだが、どうも広範囲でポピーが咲き乱れているらしい。
 かわいい花に惑わされてしまいがちだが、急速に勢力を伸ばしている外来種という認識が正しいものらしいということを先日知った。地域によっては、大規模な伐採処理を行っているらしい。大がかりな対応をしているところを見ると、このまま野放しにしていると日本中がオレンジ色に染まってしまう可能性があるのかもしれない。
 1つの花に1万個以上の種が結実するらしい。その数字を見せられると、近所がオレンジ色に染まったのにも納得できる。
 それにしても、なぜここまで野放しにされてしまったのだろうか?
 理由のひとつとして「花がかわいい」ということが挙げられるのではないだろうか?
 ドクダミのようにキツイ臭いがするわけでもない。セイタカアワダチソウのように視界を遮るほどの存在感もない。シロツメクサのように蜂が集まる事も少ない。
 ちょうどいい大きさの草に、人にとって無害な目立つ花が咲く。その姿を目にすれば季節が感じられるし、明るい花の色は目を楽しませてくれる。直接的な外が無いどころか、心に訴えかけてくるものがあるように感じられる野草をわざわざ刈る人はいない。
 つまり、あのポピーというかケシは、人に媚びることで勢力を拡大したとも言えるかもしれない。げに恐るべき進化なり。