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読書の秋です

by 唐草 [2018/09/24]



 「秋」と言うとみなさんは何を連想するだろうか?食欲の秋、読書の秋、運動の秋、あとは行楽の秋とかがメジャーな「〇〇の秋」シリーズだろう。
 そう言えば最近、「〇〇の秋」という言葉をあまり耳にしていないような気がする。ぼくが小学生だった頃なんかは、ニュース番組の一コーナーで「食欲の秋!松茸を食べよう」とか「行楽の秋!今話題の〇〇へ行こう」とひっきりなしに騒いでいた。今の感覚からするとメディアが視聴者を消費行動へと煽っていたとも言える。
 「〇〇の秋」と騒がなくなってしまったのは、消費者の行動が多様化したからだろうか?それとも景気が悪くて消費マインドが極限まで低下してしまったからだろうか?松茸に関しては、外交が大きく絡む政治的な理由が一番だろうけど、実は大して美味しくないという事実が広く知られてしまった可能性も否定できない。
 さて、ぼくにとっての秋は何だろう?考えてみても秋だからといって別段何かをしているわけでもないし、何かをする予定もない。現在完了形でいつもどおりである。安っぽいステマは通じない揺るがぬ価値観を持っているとも言えるし、財布の中身が季節を先取りしたように寒い故に特別なことは何もできていないとも考えられる。マクロで見ても、ミクロで見ても「〇〇な秋」が消えた理由はよくわからない。
 ただ、今日を「〇〇な秋」に当てはめるのであれば、読書の秋がふさわしい。秋だから本を手にとったわけではないが、中秋の名月の今日に真剣な眼差しで本に向かっていたのは事実だ。
 基本的にミステリー小説しか読まないぼくは読書家とは言い難いいだろう。ぼくが読書に求めているのは、本から得られる知識や教養、自分とは異なる感覚とかそういう高尚なものではない。物語の中にどっぷりと浸って、ただひたすらに次のページを読み連ねていきたいという楽しみだけを求めている。読んでいる瞬間に楽しいことが重要であって、読み終わった先に何かが残ることは求めていない。ぼくにとって読書とは、あくまでエンターテイメントなのである。
 残念なことに今日読んでいた本は、仕事に関する本だった。物語性は皆無で、強いて言えば事例を大量まとめた報告書の束に近いものだった。仕事に関わる重要な事例がいくつも記載されているので、得るものは多かった。一部はノートにメモをとったりもした。読み終えた今、結構な量の経験値をゲットできたという自覚もある。そういう意味では、充実した読書だったと言えるかもしれない。
 でも、これは勉強であってエンターテイメントではない。ぼくの考える理想的な読書像からは、遠く離れていた。だから、1ページ1ページが鉛板でできているのではないかと信じて疑わないほどにページをめくるのに時間を要した。また、常に睡魔との戦いでもあった。恥ずかしながら、寝落ちした瞬間が一度ならずあった。
 読書の秋と言うより、睡眠の秋という一日になってしまったのである。