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違和感のある会計

by 唐草 [2017/11/22]



 マンガを買いに書店へ寄った。紙でマンガを買うのは久しぶりだ。
 発売日なので平台の端の方に目的のマンガがたくさん積まれていた。たくさんあるのは人気だから入荷が多いのか?それとも不人気なのでまったく売れていないからなのか?よく分からない。もっとも人気があろうが無かろうがぼくには関係のないことだ。
 平台から1冊を手に取りレジへと向かう。駅ビルに入っている本屋のせいか、いつ来てもレジが混んでいる。受付が6ヵ所ぐらいあるのにだ。この店だけを見ていると出版不況など嘘のように思えてしまう。
 ぼくの番が来たので、いそいそとレンジの前へと進む。ぼくが立った窓口には、最新と思われるレジが設置されていた。なんで最新だと思ったのか。それは一目で分かる新しさがあったから。だって端末がiPadなんだもの。昔ながらのレジでも、PCモニタでもなくiPad。間違いなく最新のレジシステムだろう。
 書店のお姉さんがテキパキと会計を進めて行く。
「お会計はこちらになります」といいながらお姉さんが、スタンドの上に置かれたiPadの画面をぼくの方へ回してきた。画面には、買った本の名前とか様々な情報が表示されている。一瞬、どこに会計が表示されているのか分からず、目が泳いでしまった。だが、すぐに619という数字を画面右上に見つけた。確かマンガの値段は600円台だったはず。ならこの数字が税込み価格に違いないだろう。
 財布の中を覗くと小銭が無かった。細かいおつりを受け取りたくなかったので、1020円を出した。これなら、401円のおつりになる。
 するとお姉さんが、一瞬怪訝な顔をした。だが、なにも言わずにお金を受け取り会計を済ませてくれた。
 おつりを載せたトレーが帰ってきたのだが、そこには352円という想像とは全然違う小銭が載っていた。
 さすがのぼくも思わず焦った声で確認してしまった。
「619円って表示されてましたよね?」
 するとお姉さんは
「お会計はこちらになります」といいながらiPadの画面を指し示した。
 お姉さんの指は、ぼくが見ていた画面右端ではなくて左下を指していた。そこには、確かに668円と書かれていた。ぼくが見ていたのは、税抜き価格の書籍の値段だった。お姉さんが怪訝な顔をしてぼくの出したお金を受け取った理由がようやく理解できた。
 iPadの画面には、様々な情報が表示されている。会計を行う店員には必要な情報かもしれないが、お客であるぼくには不要な情報も多い。そのせいで、ぼくは間違えてしまった。iPadを用いたレジは革新的かもしれない。でもソフトの成熟がまだまだなので、しばらくは既存のレジに軍配が上がりそうだなぁ。