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車の正体は?

by 唐草 [2018/04/05]



 我が家の斜め向かいに月極の駐車場がある。駐車場といっても、所詮住宅街の中にある駐車場にすぎない。街中にあるコインパーキングのようなものを想像してはダメだ。土地を遊ばせておくのはもったいないと考えている地主が、投資することなく空き地で小遣いを稼ごうとしている駐車場である。
 ようするに電動のゲートもなければ監視カメラもない。街灯すらない。ただの空き地に砂利をまいて、よくある緑色の金網でできたフェンスで囲っただけ。駐車スペースを示す黄色と黒のロープが張られているのでよく見れば駐車場だと認識できる程度の簡易的な作りだ。
 そんな安普請な駐車場なので、置いてある車は近隣住民の軽自動車が中心だ。ここのところ周囲で住宅建築ラッシュが起きている(つまり地主が死んだ)ので、その工事関係者の車も増えている。どうやら工事発注元がまとめて空きスペースを借りているようだ。工事の進行に合わせて停まっている車がどんどん変わっていく。はじめは大工道具と思われるような工具を積んだ車が多かったが、今では内装関連のクロス屋っぽい車が増えている。
 そんな駐車場に1台だけ雰囲気の違う車が停まっている。
 それが、グレーのカバーにすっぽりと覆われたハッチバックだ。ボディー全体を包み込むように厳重にカバーをかけている。カバーは、飛ばないようにワイヤーでしっかりと結びつけられている。
 日常の足としての軽の乗用車と職人の気配のする軽ワゴンが大半を占める駐車場では、カバーで完全に覆われた車は明らかに場違いである。
 しかも、一度たりともカバーが外されているのを見たことがない。一体、あの車はなんなんだろう?
 どんな人が、何の目的に停めているのかも気になるが、それ以上に車種が気になってしょうがない。車好きの性である。
 だが、厚めのカバーに覆われているので車種を特定することは困難だ。激ムズのシルエットクイズである。
 分かっていることは、まずハッチバックだということ。次に、カバーの感じから車高は低めだということ。そして、カバーからわずかに覗くタイヤが薄いスポーツタイヤだということ。この3点だけである。大切そうにカバーをかけていることから高級車ではないかと推測される。
 高級ホットハッチだと推測すると、フォルクスワーゲンのゴルフGTIあたりだろうか?ワイドなシルエットは、メルセデスAクラスのようにも見える。よく分からないが、ぼくはドイツ車の気配を感じている。
 この予想は正解なのだろうか?気になって仕方がない。セキュリティーの甘い駐車場なので、闇夜に乗じてカバーを強く押してフロントのデザインを確認してみようかな。