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作り物にしか見えない

by 唐草 [2018/02/07]



 スペースX社の大型ロケット『ファルコン・ヘビー』が火星に向けて地球を離陸した。久々にワクワクしてしまう宇宙ネタだ。月を目指す『Google Lunar Xprize』が全員失敗(期限内の達成不可)に終わったという暗いニュースは記憶に新しい。民間の宇宙開発は、まだまだ前途多難かと思った矢先にこれである。ついつい空を見上げて赤い星を探したくなってしまう。
 『ファルコン・ヘビー』には、ペイロードのサンプルとして電気自動車のテスラ・ロードスターが搭載されている。「それいけ、イーロン・マスク号!」という感想しか出てこないなんともうまいプロモーション活動である。
 火星を目指すテスラ・ロードスターには、3台のカメラが搭載されているそうだ。撮影した宇宙の映像は、YouTubeで配信されている。ほぼ宇宙からの生中継と言って差し支えない状況だ。宇宙からの生中継自体は、なにも珍しいものではない。スペースシャトルからの中継は何度もあったし、古くは月面着陸の生中継だってあった。
 それでも、火星を目指す無人のロケットから24時間生配信されていて、それを掌の中のスマホでどこにいても見ることができる。これはもう完全にSFの世界という感じがする。テクノロジーの進化が早すぎて、SFの方が遅れを取っているようにさえ感じられる。
 ぼくもワクワクしながら中継を見てみた。
 だが、どう見ても本物に見えなかった。良くできたCGにしか見えない。大きな地球をバックにゆっくりと回転する赤い車の映像なんて、実際に宇宙に行って撮影するよりもCGで作った方がずっと簡単だ。ボンネットに反射する地球が、安っぽいテクスチャー画像にしか見えない。想像の上を行きすぎていて、ぼくの脳はフィクションだと信じて疑わない。
 宇宙からの映像も嘘くさかったが、ロケットの補助ブースターの自律着陸動画もフェイクにしか見えなかった。ミサイルの発射シーンを逆再生していると言われた方が、ずっとすんなり受け入れられる映像だった。
 脳が受け入れるのを拒むほどの想像の遥か先を見せられたと言うことなんだろう。とは言え、信じた方が楽しいのでCGみたいな映像は本物だと信じておこう。