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歯の裏を舐める

by 唐草 [2017/12/02]



 先月、自分の舌を思いっきり噛んでしまって口から血を流しながら悶絶したと言う話を書いた。この表現は少し大げさかもしれないが、舌を噛んで血を流したのは間違いのない事実である。
 舌の傷が治るまで、自分の舌の位置を考える日々が続いた。考えている内に自分の舌が本来あるべき場所が分からなくなった。呼吸を意識すると途端に息苦しくなるのと同じように、口の中で舌があるべき場所を探して右往左往しているような状態が続いていた。
 その結果、舌前歯の裏を舐めるという妙な癖が付いてしまった。自分の舌の位置を確認していたせいなのかは分からないが、気が付くと下前歯の裏と歯茎の境、つまり歯の生え際を舌先でペロペロとなめている。
 この癖は、舌の傷が完治した今でも続いている。ふと気が付くと舌先で歯の裏の生え際をペロペロと触っている。ぼくは下前歯の歯並びが少し悪い。だから舌で歯の裏の生え際を舐めると2本の前歯の間にわずかな隙間があるのが感じられる。そのわずかな隙間の幅を確認するかのようにペロペロと舌を動かしている。
 本来舌先は、口を閉じているときであれば下前歯の上に載っているぐらいの位置にあるらしい。つまり、自然な位置では上前歯の裏を舐めているような状態だそうだ。だが、今のぼくは上の歯ではなく、下の歯を舐めている。これはとても不自然な舌の動かし方である。要するに、いつでも舌を縮めている状態だ。
 この癖のせいで舌に負荷がかかっているのを強く感じている。喋ったり、固いものを食べたわけでもないのに下の付け根の筋肉が疲れているような感じがする。下あご全体が疲弊しているような感覚が続いている。
 舌を噛んだことが、こんな妙な結果に繋がるなんて想像もしていなかった。日に日に自分の舌が自分のものでは無くなっているようである。