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ついに猫を発見

by 唐草 [2017/10/02]



 ぼくが勤める大学は、人里離れた山の頂にある。スクールバス以外の手段でたどり着く事は難しい。大学の周りだというのに店舗も住宅もほとんど無く、外界と隔離された感じが強い。
 そんな環境の影響だと思うのだが、勤め始めて5年ぐらいになるのに大学の中で野良猫を見かけたことが1度もなかった。大学と言えば、野良猫というイメージがぼくには強くある。
 ぼくが通っていた大学には、多くの野良猫が住み着いていた。校門脇の守衛室をテリトリーにしていたボス猫は、無愛想な性格にも関わらず大学のマスコット的な存在になっていた。また、駄菓子や飲み物を売っていた購買部のような場所の近くには、白猫の親子が住んでいた。ぼくは授業のない空き時間になると紐を持って購買部側に行って子猫と遊んでいた。
 人の出入りがあって、食べ物が豊富な場所には野良猫が住み着いている。そんな印象がぼくの中にはある。
 ところが、ぼくの職場は違っていた。人の出入りは多いものの、人里から隔離されているので猫がやってこないのかもしれない。また、清掃などに力を入れているので餌をもらえる機会もないのかもしれない。
 だから、5年も勤めていたのに猫を見たことが無かった。
 でも、今日を境にそれも過去形で語る話題となった。
 ついに大学校内で猫を発見したのだ。場所は、学食側のオープンテラス的な飲食エリア。空いているテーブルの上に白黒猫が前足をそろえて行儀良く座っていた。富士額だが鼻とヒゲ袋の一部が黒くてチョビ髭に見えるタイプの白黒猫だ。昼休み直前だったので、これから来る学生から何か食べ物をもらおうと構えているのかもしれない。
 そうか、この大学にも野良猫はいるのか。よかった。
 今日まで、この大学は猫すら排除してしまうような閉鎖的な環境だと思っていて内心残念に感じていた。でも、それはぼくの思い違いだったようだ。猫を受け入れる余裕ぐらい、いつでも失わずに持っていたいものだ。
 こんな考えだから、我が家の猫はどんどん増えていくんだろうなぁ。