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受験の思い出

by 唐草 [2019/01/30]



 センター試験も終わっていよいよ受験シーズンの最盛期がやってくる。人生を左右する大きなイベントが、どうして一番寒く厳しい季節に行われるのだろうか?年度末が3月だからという事務的な理由が事の発端なのだろうが、もう少し優しさのある知恵を絞ることはできないだろうか?
 そんなことを考えていたら、自分の受験の記憶がポロポロと時系列とは無関係にいくつか蘇ってきた。ぼくも人生の中で数度受験を経験してきた。成功もあったし失敗もあった。
 特に中学受験は思い入れが強い。小学6年生の1年間を夏休みも冬休みも費やして朝から晩まで一心不乱に勉強していた。当時のことはかなりハッキリと思い出せる。狭いアパートを改築して作ったボロい塾の部屋の雰囲気も、クラスのみんなでカップ焼きそばを食おうと盛り上がって近くのコンビニのお湯を全て使い果たして大迷惑をかけたことも昨日のことのように思い出せる。
 そして、第一志望の試験当日のことも結構覚えている。それも試験問題の中身までだ。試験に集中して耳の先まで火照った体を後の母校となる校舎の渡り廊下でクールダウンさせたときにぼくを包み込んだ刺すように冷たい空気まで覚えている。あの冷たい2月の朝の空気が、ぼくを冷静にさせ成功へと導いてくれたに違いない。20年以上経った今でも中学受験本番の2月1日から3日までの3日間は、特別な日付として胸に刻まれている。
 もう1つの受験経験が大学受験だ。大学受験のほうが中学受験よりも新しい出来事。でも、正直なところあまり記憶がない。思い出そうとしても、目覚めた後に夢のことを思い出そうとしたときと同じように断片的な記憶しか蘇ってこない。
 試験会場である大学までズラズラと列をなして歩いた記憶。某M私大で生協組合員が大声で「受験に必要な書類です」と大嘘をつきながら組合のビラを配っていたこと(翌年、この生協は学校から排除されたらしい)。高層ビルのキャンパスでの試験の帰りにエスカレータが混雑しすぎていて、あわや将棋倒しの危険に巻き込まれたこと。モノレールから見た朝日がキレイだったこと。試験終了直後に「絶対に落ちた」と確信するほど苦戦した某C私大だったが、稀に見る激ムズ問題の年だったらしくボロボロなのに受かっていたこと。第一志望の数学の試験の時間を勘違いしていたこと。最後の試験が終わったときは、某オンラインゲームにログインすることしか考えていなかったこと。
 こんなことしか思い出せない。小6の冬に感じた息遣いや温もりのある繊細な記憶とはだいぶ違う。まるで誰かから聞かされた話を受け売りで話しているような感覚の記憶しか残っていない。
 この違いって何なんだろう?大人になっちゃったってことなのかな?
 記憶がどうあれ、その延長線上に今のぼくがいる。