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ゾンビメール

by 唐草 [2019/01/26]



 数ヶ月前にとある分野の展示会を見にいったことがある。入場の際に名刺を渡さなくてはいけなかったので、架空の所属を記載したフェイクな名刺を作って入場を果たした。フェイクな名刺と言えども、名前とメールアドレスは本物である。別人に成りすますためのフェイク名刺ではなく、招待状との整合性を保って円滑に入場するためのフェイク名刺だったのだ。
 展示会に寄って以来、ありとあらゆる分野の展示会案内のメールが届くようになった。届くメールのタイトルを見ていると日本中の様々なところでぼくの知らない業界の展示会が毎週のように開けれていることが分かる。IT系だけでも様々な分野がある。教育、セキュリティー、AI、業務自動化などなど驚くほどに細分化されている。
 IT系の展示会だったら参加する可能性は十分にある。でも、それ以外のジャンルに参加することは、まずありえないだろう。仮に転職したって、たぶんIT業界にとどまると思うので絶対に縁のないままだろう。
 食品、化粧品、医薬品、介護、事務用品といったぼくには関係のない展示会案内のメールが毎週何通もやってくる。これは展示会企画会社にぼくのメールアドレスが渡ってしまったせいだ。日本中の展示会を牛耳っているのは、たった1つの会社しか無いのではなかろうか?メールボックスから溢れんばかりに届く案内メールを見ているとそんな気分になってくる。
 読まないメールが届くのは無駄でしかないので、暇な時に案内が来ると丁寧にもメール配信停止請求をしている。エロとか詐欺のスパムメールだったら配信停止請求は、メアドが生きていることを伝えるだけになってしまう。そして、さらにスパムが届くようになる。展示会運営会社は出会い系業者よりはまともだろう。そう信じて停止請求を申請している。
 でも、一向にメールが減る気配がしない。
 すでにぼくのブラウザは配信停止請求フォームに入れるメアドと配信コードを記憶している。それぐらい申請しているのに一向にメールが止まらないのだ。やはり、展示会運営会社もいかがわしいエロサイトと同じなのだろうか?
 失望しかけていたのだが、ようやくカラクリに気がついた。
 1度に配信を止められるのは、1カテゴリーのみだったのである。例えば食品の展示会のメールから解除を行っても、解除されるのは食品展示会のメールだけ。その他のジャンルは、何事もなかったかのようにメールが届き続ける。つまり、すべての案内を停止するためには、すべてのジャンルに対して配信停止請求をする必要がある。いったいいくつのカテゴリーが存在するんだ。一生かかってもすべてを解除できる気がしない。
 配信コードを覚えてしまうほどに解除しまくったけれど、どうやらぼくの負けのようだ。展示会案内のメールは、倒しても倒してもゾンビのようにやってくるのだ。