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ベッドにカビが生えそうだ

by 唐草 [2020/07/27]



 長期予報では猛暑が予想されていた2020年の夏。だが、蓋を開けてみれば猛暑なんてどこにもなかった。猛暑の代わりにやってきたのは、いつまでも居座り続ける梅雨であった。6月以来、ずっと雨が降り続けていて太陽を久しく見ていない。そろそろ青空の色を忘れてしまいそうだ。いったいこの雨はいつまで続くのだろう?
 ここ数年、一年で一番暑い時期は7月末のちょうど今頃だった。外に出れば晴れ渡った空から刺さるような強い日差しが容赦なく降り注いでいる。そんな日差しの中では、ちょっと体を動かすだけでも顔が真っ赤になってしまう。少しでも暑くない場所を求め日陰から日陰へと渡り歩く姿は、太陽から逃げているかのように見えるだろう。
 去年の今頃は、首に保冷剤を巻いたように記憶している。血液を冷やして体の中から涼を取る。なりふり構わず熱から逃れて、とにかく熱中症にならないようにすることに心血を注いでいた。その時は、来年も夏になれば同じことをしているだろうと信じて疑わなかった。
 まさかこんなことになろうとは。
 怯える対象は、熱中症だけでなくコロナウイルスが加わってしまった。夏は、目に見えない脅威と戦う季節になってしまったのだろうか?
 ただ不幸中の幸いは、この夏が雨のせいで平年より涼しいということである。熱中症への恐怖は、例年ほど感じてはいない。だからといって、この終わりの見えない雨模様を天からの恵みとして前向きに受け取ることはできない。
 すでに日常生活が破綻寸前である。
 先日、風呂に入ろうとしたら乾いたバスタオルが1枚もなかった。しかたなく生乾きのタオルで体を拭かざるを得なかった。シャワーでさっぱりした気分が、ドロドロと溶けてしまうような不愉快さだった。我が家には乾燥機がないので、状況は日に日に悪化している。もはや生乾きの部屋干し洗濯物の隙間を縫って暮らしているようである。
 そして、濡れているはずのないものまで湿りだしている。畳はいつでも水拭きした直後のようにベタベタとしている。ぼくのベッドのシーツも絞れば水が出ても不思議はないようなほどに湿り気を帯びている。このままではベッドが菌類の苗床になる日もそう遠くないだろう。
 あぁ、シーツを洗って天日でパリッと乾かしたい。