カレンダー

2019/08
    
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

初夢の話をしよう

by 唐草 [2019/01/02]



 ぼくも誤解していた時期があったのだが、「初夢」というのは年越しして最初の晩に見る夢のこと。つまり、1日と2日の間に見る夢のことだ。とは言うものの、年末年始は夜更かしばかりしているので大晦日の晩は年を越してから布団に入っている。こんな生活だから一年で最初の夢は1日の午前4時頃に見てしまう。だから、それを初夢だと勘違いしてしまうのも無理はない。日の出とともに目覚め日の入りとともに寝る生活をしていた大昔に考案された初夢の基準を現代に持ち出されても無用な混乱を招くだけである。
 新年を迎えてから2回目の夢が初夢だということは理解した。腑に落ちているとは言い難いが、そう言うものだと割り切って理解するようにしている。ただ、元日に昼寝をした際に見た夢を初夢と呼んでいいのかという疑問はいまだ解けずにいる。
 ほぼ毎晩のように夢を見ているぼくは、古典的な初夢の定義通りの時間にも夢を見た。それはこんな夢だった。
 ぼくはいつもの通勤電車に乗っている。幸運な事に座席に座れているのだが、制服を着た小学生の群がぼくの隣の席を取り合って暴れていることに少しだけムカッとしていた。
 駅で電車が止まった時、ふと窓の外に目をやると近代的な大きな空港が見えた。この駅は、実在の駅だが今は空港なんて無い。歴史を紐解くと戦時中に滑走路があったらしいが、写真で見たことしかない。だが、ぼくの目の前には羽田空港のような大きなターミナルのある空港が建っている。
 空から大きなものがやってきた。下から見上げていると大きな三角形が飛んでいるように見える。いわゆるデルタ翼の飛行機が2機着陸しようとしていた。エンジンの配置や機体の大きさから見て超音速旅客機のコンコルドに間違いない。
 不思議とスローに見える動きで着陸したのだが、着陸してからが危なっかしかった。滑走路上でなかなか減速できず、まるで崖っぷちでチキンレースでもしているかのように滑走路の一番端まで走って、オーバーランギリギリのところで止まった。まったく危なっかしい着陸である。見ているこっちがヒヤヒヤしてしまう。
 コンコルドの足下を見るとタイヤがあるべき場所にキャタピラが装着されていた。夢の中のぼくは、キャタピラを履いていることに疑問はなかったようだ。
 これで夢は終わった。
 なんでコンコルドが着陸する夢なんかを見たんだろう?サッパリ分からない。縁起が良いとされる「一富士、二鷹、三茄子」とも無縁なように思える。
 いや、本当に無縁だろうか?
 白いデルタ翼機を下から見た姿は、まるで富士山のシルエットのようである。それに2機の飛行機というのは二鷹の暗示かもしれないし、コンコルドって名前はハゲタカのコンドルに似ている。二鷹の暗喩と考えて差し支えないだろう。茄子はノイズなので無視だ。
 些細な偶然すらも地球滅亡のサインだと捕らえてしまう編集者並に強引な解釈をすれば、ぼくの夢だってとても縁起の良い初夢とみなすことができるのである。今年は、さい先の良いスタートができそうだ。