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名作への不満

by 唐草 [2019/10/09]



 数年前にゲーム界最高の栄誉である『Game on the Year』を受賞したゲームのひとつに『THE LAST OF US(以下ラスアス)』がある。最近、この古いゲームの話題を耳にする機会が増えている。原因は、続編の『THE LAST OF US Part 2』の発売がアナウンスされ、プロモーションの一環として『THE LAST OF US』のPS4リマスター版(オリジナルはPS3のゲームだ)がDL版だと100円になるキャンペーンが開始されたからだ。
 100円だったら、PS3版で遊びつくした人だって買うだろう。さらに、ちょっと興味があるどころか名前を聞いたことがあるレベルの人すら買うだろう。CERO-Z相当のグロ表現がきついゲームなので年齢確認のためにクレカ決済が必要。そのための最低決算額の100円という値段設定。乱暴に言えば、事実上の無償配布だ。
 だが、ぼくはこのおいしいキャンペーンを使っていない。だって夏のセールの時に1,500円で買っちゃたんだもの。かなり悔しいぞ。
 賞を受賞していることからも分かる通りラスアスは、とても評判の良いゲームだ。特に主人公であるオッサンと少女の2人の心情を細やかに描く演出が評価されている。ゲームなのにシナリオの分岐もないし、前のステージに戻ることもできない一本道。それなのに飽きさせないのだから、多くの人がシナリオと演出のレベルの高さに魅了されているのだろう。
 でも、ぼくはラスアスをあまり楽しめなかった。気に入ったゲームは実績を80%ぐらい取得するまでやり込むのだが、ぼくの実績取得率は7%で止まっている。周回プレーもアイテムコレクションもやる気が起こらなかった。
 別に賞を取ったことに対して逆張りしているわけではない。同じ賞を取った『Witcher 3』は、手放しで褒めている。賞とは無関係に、ぼくの心には響かなかったのである。ぼくは、稀代の名作と称賛されるラスアスの何が気に入らなかったのだろう?
 手に汗握る緊張のステルスアクションに没頭していたのだが、同時に攻略の幅が狭くて窮屈に感じていた。一方、敵の出ない自由な会話パートは隠しアイテム探しに気を取られて会話を後回しにして無駄にウロウロしてしまった。こう考えてみると、ぼくの求める自由なゲーム像とかけ離れていたのが原因なのかもしれない。ゲームで遊ぼうと思ったら再生の難しい映画を見せられたような気分というのが適切な不満の表現かもしれない。
 
補足
 ラスアスの考察サイトを眺めていたら、タイトルの"US"というのは主人公2人の「私たち」という意味だけではなく舞台であるアメリカの"US"にもかかったダブルミーニングだという説があった。彼らの最後の選択は、長い目で見ればアメリカを終わらせる選択とも言える。完全なネタバレだが、見事な考察だと感心してしまった。