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モンティ・ホールは国語の問題

by 唐草 [2020/11/04]



 確率のパラドックスとしてモンティ・ホール問題が有名だ。パラドックスと言っても親殺しのパラドックスのような本物のパラドックスではなく、数学的確率と人間の感覚の間には大きな溝があるという話。なのでパラドックスと言うのは、だいぶ大げさにも思える。
 モンティ・ホール問題の詳しい説明はGoogleに任せるが、簡単な説明を書いておこう。
 3つの扉が並んでいて、1つだけある正解の扉を開ければ報酬を獲得できるゲームがある。初めに回答者が1つの扉を選ぶ。次に司会者が選ばれなかった扉の中からハズレの扉を1つ開ける。1つ開いた状態で司会者は、回答者に選んだ扉を変更するかを問う。扉を変更したほうが良いかを考えるのがモンティ・ホール問題だ。
 素直に考えると初めは1/3の正解だったものが、司会者が扉を開けたことで1/2に変わったように思える。正解確率が上がったとは言え、五分五分。だから回答者は扉を変えても変えなくても報酬獲得確率は同じに思える。
 ところが、同じに思えてしまうのがモンティ・ホール問題の罠。実は、開ける扉を変えなかったときの正解率は1/3のままだが、変更した場合の正解率は2/3となる。だから変えたほうが報酬に近づける。
 数学的に証明する方法もあるらしいが、簡単に理解するには全パターンを書き出してみるのがいい。○が正解、✕が外れ、□が司会者が開けた扉だとするとこんな感じになる。報酬の並びは以下に示すA,B,Cの3パターンがある。
 
  初め    司会者オープン後
A:○✕✕ ▶ ○✕□
B:✕○✕ ▶ ✕○□
C:✕✕○ ▶ ✕□○
  ↑
 1列目を選んだとする
 
 選択を変えないで正解するのはAパターンのみ。変更で正解になるのはB,Cの2通り。だから、変えたほうが良い。
 モンティ・ホール問題の単純な説明として扉が3個ではなくて、100個だとするものがある。その場合、司会者は正解と不正解を1つずつ残すのでハズレの98個を開けることになる。100個から1個選ぶのと、アタリを残した2個から1個を選ぶんだったら後者のほうが確率が高そうなのは感覚的に納得できる。と言うのが、扉たくさん派の説明だ。
 分かりやすいのは認めるが、モンティ・ホール問題の前提は司会者が1つだけ扉を開けるという話ではなかろうか?98個開けて良いのだろうか?この疑問が残るので、どうしても扉たくさん派の説明を受け入れられない。
 残った2個のうち1つを開けるというのは、「1つだけ」を意味するのか「1つを残した残りすべて」を指すのか?これが問題だ。こうなってくるともはや数学の問題でなく国語の問題である。