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他人の観光を楽しむ

by 唐草 [2017/10/04]



 今週末はF1日本グランプリが開催される。サーキットでのイベントは木曜日からだが、F1ドライバーは月曜ぐらいから来日している。日本でのプロモーションイベントに参加するために早めに来日しているドライバーは少ない。多くのドライバーが、日本で観光するために早めに来日しているようだ。ドライバーのSNSをチェックすれば観光の様子を知ることができる。
 世界中を飛び回っているF1ドライバーたち。どの国でもタイトなスケジュールの合間を縫って観光をしているようだが、日本ではひときわ羽を伸ばしているように見て取れる。
 東京都内を中心に思い思いに観光を楽しんでいるようだ。毎年、渋谷のスクランブル交差点の写真がアップされている。あの混雑した交差点がなぜ人気なのか理解しにくい部分もあるが、東京を楽しんでいる様子が写真から伝わってくる。
 F1ドライバーはセレブなスポーツ選手。ところが、意外と質素な観光を楽しんでいる。超高級な寿司屋に行っているドライバーもいるが、一般人に紛れて蕎麦屋とかを訪れているドライバーも少なくない。それどころか在来線に乗って移動をしていたりする。まさに神出鬼没といった趣さえある。
 F1好きのぼくだって隣に有名選手がいても気が付かないと思う。似ているなぁと思って二度見するかもしれないが、まさか本人だとは考えもしないだろう。ましてやF1に興味の欠片もない人にしてみれば、ただの外国人観光客にしか見えないことだろう。
 セレブ扱いされない開放感とどこに行っても安全な治安状況。この2つがあるから他の国よりも羽を伸ばせるのかもしれない。名も顔も広く知れ渡ったセレブとしてではなく、一般人として観光できるというのが貴重な機会なのかもしれない。
 日本を満喫している様子は、見ていておもしろい。特に日本人でもあまり知らないようなところを訪れているのを見ると、入念にリサーチして観光する気満々で来日していたのであろうということが伝わってくる。時間は限られているかもしれないが、お金は潤沢にある外国人の選択は大きすぎる価値観の隔たり故に新鮮に見えることもある。
 ドライバーらの観光の様子を温かく見守るのが、SNSで一挙手一投足を追えるようになったここ数年の密かな楽しみである。